「ころぼっくるひゅって」に行ったよ

きれいな景色を見ながらコーヒー飲みたい

 大雑把な目的をより具体的な計画に落とし込むべく、ネットで「景色 コーヒー」とかで調べてみると、「ころぼっくるひゅって」というお店がやたらとヒットする。行きたいお店リストを作り始めてしばらく経つのだが、かなり初期の段階から「ころぼっくるひゅって」には注目していた。なんとなく踏ん切りがつかず、ずるずると先延ばしにしていたが、360度カメラを手に入れたことで景色の撮影というモチベーションも湧き、今年ようやく行動に移すことができた。しかしこの旅は出発前から躓くことに。

 「ころぼっくるひゅって」が有名ということもあり、少しでも混雑しないほうがいいかと月曜の平日に旅程を組んだ。予定2日前の土曜日、必要な道具なども買い揃え、気持ちや時間にも余裕がある。念のため当日の動きを確認しておこうと、旅程のスプレッドシートを開く。やはり心配なのは本数が少ないバスの時間。上諏訪駅でのバス停までの道のりと時間的猶予について改めて確認していると、ふと時刻表に書いてある文面が目に止まった。

「4⽉27⽇〜10⽉27⽇の間の⼟⽇祝⽇及び7⽉27⽇〜8⽉25⽇の毎⽇運⾏」

ちなみに散策予定は6/17の月曜日。乗る予定のバスが運行していない。なんで今まで気づかなかったのか。上諏訪駅以外の経路も調べはしたが、散策するための時間が十分に取れない。これはさすがに延期かなと思いながら、明日(日曜)の特急の空席状況を見てみると、まだ空きがある・・・

「明日行くか!」

特急券をネットで確保し、準備のために広げていた荷物をすべてカバンに詰め込んで、他にすべきことはないかと心配を抱えながら無理やり眠った。結局出発前から余裕なんてないのだ。

 翌朝、特急電車への乗車まで問題なく移動でき、あとはゆっくりと上諏訪駅を待つのみ。自身の席を見つけ、背負っていた荷物をおろし、耳にはめていたAirPodsを片方外して収納、もう片方をはずして収納しようとしたら手元からイヤホンがこぼれ落ちた。座席の下に転がるところまで見えている。すぐにかがんで座席の下を探したが、見つけることができない。遠くまで転がったのかと、後ろの席、更に後ろの席と確認したが、見つからない。前の座席も確認したが見当たらない。iPhone のデバイスを探すアプリを使用して、落としたイヤホンから音を出してみると、音ははっきりと自身の席と後ろの席の間から聞こえる。改めて座席の下を覗き込んだが、全く見つけることができない。近くにあるということはわかるだけにかなり歯がゆい。そしてこの大捜索、座席に人がいる状態で、周囲にペコペコしながら捜索していた。見つかれば「よかったよかった」と笑って終えられるのに、見つからないために周囲の目が本当につらい。通りかかった車掌さんにより「車庫に入ったら探すから」と捜索終了を告げられ、大人しく座席に座ったものの、しばらくは嫌な汗が止まらない。旅の始まりはとても苦しいものだった。

 上諏訪駅につき、出発時刻よりもかなり前から停車しているバスに乗り込む。座席が埋まる程度には人がいる。タイヤに近い席に座ってしまったために足元が狭く、荷物もあるため窮屈だ。出発してから1つ目の停留所までの間に結構な坂道を登っていく。バスからの景色もかなり遠くまで望むことができたが、しばらくすると杉林に囲まれ何も見えなくなってしまった。景色が見通せなくなるタイミングを見計らってか、霧ヶ峰を紹介するアナウンスが始まった。こんなものもあるのかと少し聞いていたが「次止まります」のボタンが押されたことでガイドは中断し、途中から再開ということもなかった。

 霧ヶ峰は広く、散策できるエリアがいくつかある。その中で自分が最初に目的地としたのは車山肩。バスを降りた場所からすでに雲が近く、青空の広がりに反して暑いという印象はない。日差しがないわけではないのだが、全身を囲う大気があまり熱をまとっていない。加えて風が心地よい冷気を運んできている。半袖ではすこし身震いしてしまうかもしれない。それはそれとして、山の景色を楽しむよりも前に、まずは「ころぼっくるひゅって」に向かった。ゆるキャン△の影響もあって人が集まるだろうことは予想できたので、最初にここに立ち寄って早めに腹ごしらえをしておくことにした。

 やはり並んでいる・・・

ある程度は並ぶだろうと思っていたが、想像以上だった。バスでのアクセスでは一番最初なのだが、10時半時点で駐車場が車で埋まっており、このお店が目的という人も多いのだろう。周辺を散策してから再度訪れようかと考えていると「3組まで中にお入りください」といったアナウンスとともに列が一気に前に進んだ。意外と回転はいいのか?一番の目的でもあるお店だし、ここは時間を取ってもいいかと意を決して並ぶ。自分の前に並んでいた家族連れの子供が空を指さして「なにあれー」というので、自分も含め周りが空を見上げる。遠くに薄く細長いフォルムのグライダーが飛んでいた。霧ヶ峰は日本のグライダー発祥の地としても有名なんだそうだ。事前にハイキングについて調べたりしたけど、グライダーについては何も気づくことができなかった。やはり現地に行くことで新しく知ることというのがありますね。

 

 20分もしないうちに呼ばれ店内へ。並んでいた割には席が空いている。中には売店もあり、お土産を選ぶお客さんもちらほら。お店の中が混雑するのを避けるために、店内に入れる人数を制限しているようだ。そして家屋の奥には陽射しによって明るくなっている屋外ラウンジ。ここからの景色がとにかくすごい。スクリーンで映しているのかと思えるほど、別世界を感じさせるような視界の広がり。テーブルのすぐ向こうが斜面となっていることで、遠目に山を見るというものではなく、視界いっぱいに緑が広がっており、より近くに自然を感じることができる。この景色を一番楽しめる席というのがラウンジの一番奥にある席なのだが、この日は運良く座ることができた。

 そしてこの景色を見ながら、一番楽しみにしていたサイフォンコーヒーと、材料が入ったときだけしか頼めないプレミアムはちみつトーストをいただく。

最高ですね

 行きのトラブルなんてどうでもよくなる。厚みのあるトーストに染み渡るはちみつは、しっかりと甘いのにしつこさを感じさせないとても上品な味わい。市販のはちみつよりも、ベタつきというものを感じない。コーヒーは主張が強いようなものではなく、他の料理との食べ合わせを考えられたような、非常に苦味と酸味のバランスが良い風味。コーヒーの油分を感じやすいというのはサイフォンの特徴なのかもしれない。どこの豆を使っているかということまではわからなかったが、コロンビアの豆のような飲みやすさがとても印象的だった。トーストだけではこのあともたなそうだなと思ったのでアップルパイも注文。ごろっと入ったりんごが食べごたえもあり、トーストの甘みと相まってりんごの酸味が心地よい。

 環境、コーヒー、食事どれも最高のものが揃う場所だ。ただちょっと気をつけないといけないところは、自然に近く時期的なこともあり、小さい虫が飛んでいたりもするので、食べ物につかないように注意が必要になる。

 ころぼっくるひゅってをあとにして、車山湿原や車山登頂にといったところで一旦区切る。一気に書こうかと最初は思っていたが、想像以上に長くなってしまった。旅の序盤までにいろいろありすぎたね。

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