城ヶ崎海岸でダイビングしたよ

 前回のダイビングから約2年。毎年毎年生きたいなと思いつつなかなか行動に移せないダイビング。ポイントやダイビングショップの良し悪しに幅があり、いいところを見つけるのが難しかったり、お一人様は受付できないところがあったり、週末の天気が不安定だったりと予約をするには足踏みしてしまう要素が多く、なかなか予定を確定できていなかった。それでもなんとか8月に1本予定をいれる事ができた。覚悟ができたと言ってもいいかもしれない。

 電車に揺られること約3時間、伊東線、伊豆急行の海に面した路線の景色を楽しみつつ、集合場所である城ヶ崎海岸駅へ。少し早めに到着するように調整して、駅周辺をブラブラしてみたが、駅自体がロッジづくりという見た目が特殊ということ意外、駅周りでめぼしいものは見つけられなかった。海も少し遠くて画角に収めることも難しい。別荘地ということで、あまり観光を想定した建物は用意されていないのかもしれない

 この日お世話になるのは「ダイブショップ宝島」というお店。比較的年配のガイドさんがかなりフレンドリーに対応してくれる。ほかに一緒に潜るお客さんは3人。全員がお一人様の申し込みで、年代もバラバラ。でもブランクがあったりダイビングに慣らしたいといったモチベーションは似たようなところ。周りがスイスイ準備したりするようなメンバーだと焦るからこれは助かる。

 ショップで注意事項確認などが終わると、車に載せられ船着き場へ。ウェットスーツなど身につけるレンタル品を受取り着替えるのだけれども、施設はそんなに立派じゃない。このときは人が少なかったからそこまで気にはならなかったが、人が多くなってくると結構手狭な感じになりそう。また、1日の行動がはっきりしなかったことで、荷物をどこにおいておくべきかというのが結構悩んだ。結局乗ってきた車の中に殆ど置いておくことになったのだけれど、他のショップの人やお客さん、地元の人もいたりしたので盗難が心配だった。ダイビングポイントでの荷物の取り扱いはショップによって結構幅があるのが不安なところでもあり、今後もこのショップを利用するかどうかの大きな要素になってくる。まぁお一人様にそもそもそんなに選択肢はないけれど。

 一緒に潜る人たちと確認しながら機材をセッティング。2年ぶりとなるとやはりだいぶ忘れていて、一緒に潜る人たちとひとつひとつ確認しながら進めていた。こんなのでもアドバンスドダイバーのライセンス持ち続けてもいいものなのか。

 久しぶりという不安もある中海の中へ。レギュレーターから呼吸する感覚は問題なし。ただ自身の体勢を思ったように維持するのが結構しんどい。海中のうねりがあるというのも理由の一つだけれど、呼吸とBC操作による空気の調整がうまくいっていない感じがする。これに加えて無理に体勢を変えようとして必要以上に泳いでしまい、足が軽くつるといったことも何度かあった。筋力の衰えを痛感しながらなんとか1本目の海中散歩を続行。

 今回は360度カメラを始めて海中で使用した。前回はGoProを持っていったが、海中で思ったように画角を維持するのが難しく、また画角以外のところに魚がいるといったことも多い。スノーボードのときもそうだが、どう写っているかを録画時はあまり気にしなくていい上に、あとで見たいところだけ切り取れるのがやはり楽。

 潜ったポイントは城ヶ崎海岸のまえかどというところからふたまたという場所。ダイバーさんが教えてくれるポイントはGoogleMapとかでもはっきりと位置が特定しづらいのが難点。いろいろとダイバーさんが指さしたりして魚がいるのを教えてくれるのだけれど、体勢維持に必死になってて思うように見たいものに近づけなかった。あんまり近づきすぎると止まりきれなくて衝突してしまうのが怖い。イロカエルアンコウとかいたらしいのだけれど、はっきりと姿が見えなかったものが多かった。後で録画したものも見たが、遠くてわからぬ。ダイビングで魚を捕らえるときはとにかく接写しないとということに改めて気付かされた。クマノミの卵があったところはよく撮れてたと思う、というかそれぐらいしか録画ではっきりと分かるようなものは1本目にはなかったかも。1本目はとにかく海中での体の使い方に必死で、ボートに戻って重力を感じたときの疲労感が尋常じゃなかった。2本目が潜れるか心配になるほどだった。

 お昼休憩含む1時間半ほどの休憩を挟み、なんとか潜れるぐらいには体力が戻った。1本目潜ったあと、体力の消耗についてガイドの方に相談してみたら「必要以上に泳いでしまっている」とのこと。岩場を掴んで移動したり、無理に体勢を変えずに流れに身を委ねるようにすればいいらしい。これらを意識して潜るとたしかに体力の消耗は1本目よりもましになったと思う。まぁそれでも泳がないといけない場面は多く、というかつかめる岩場が少なかったため下半身への負担はそれなりにあり、またつるような痛みを感じていた。

 疲労は感じていても2回目ということで気持ちに余裕はでてきた。今度は接写するぞと意気込んでいたのだけれど、2回目のポイントでみれる魚の数はさほど多くない模様。そんな中で目立ったものといえば、数が少なくなってきてるらしいタカベの群れ。黄色いラインが遠目からでもキラキラしていて綺麗でしたね。ウミガメも狙い目のポイントではあったが本日は恵まれておらず見ることができなかった、残念。

 ダイビングショップに戻ってログをつける。今回はログをつける時間を設けたけれど人が多いときはログをつける時間を設けないらしい。これまでのショップではけっこうちゃんとログをつけるところばかりで、あとで見返すときにかなり参考になるのでこの点はちょっと気になった。あと、一緒に潜った人達同士でログに一言コメントを書きあったりスタンプを押したりといったことを良くしていたが、このとき一緒に潜った人はこれまでそういったことはなかったらしく、ログへのコメントの書き合いもこの日はなかった。

 電車の時間まで一緒に潜った人と色々と話をさせてもらったのだが、50代ぐらいの方が「潜れるときに潜っておかないと」という話がとても印象深かった。年齢が高くなってくると、ショップによっては3桁を超えるようなダイビング回数がないと潜らせてもらえないらしい。その人は回数を稼ぐために夏以外のシーズンもがんばって潜っているんだとか。そんな制限を設けているショップもあるのか、という衝撃とそんなに高頻度で潜れる懐具合の羨ましいなと思ったものです。実際年に1回しか行っておらず、年齢制限までしかもぐれないとなると、もしかしたらもう10回ぐらいしか行けないのでは?という焦りにもにた感情を抱いた。この人との話を聞いて、ダイビングに限らず、行けるときにいろいろ行っておかないとなと焦りを感じている。

 帰って録画したデータに問題がないことに胸をなでおろしたが、耳の炎症は案の定発生してしまい、耳鼻科に通って点耳薬を使用している。ダイビング用の耳栓を使用してはいたもののやはり完全に防ぐことはできなかったか。これを繰り返すことで耳が今後どのようになるのかという不安はあるものの、できるうちにダイビングはやっておきたいという気持ちが強い。できれば今シーズンのうちにもう一回ぐらいは潜っておきたいですね

車山を登ったよ

1つ前の記事の続き

 「ころぼっくるひゅって」でこの日の目的はほぼ達成されたと言ってもいい。ただここまできたならと、車山周辺を散策しつつ車山登頂を目指すメジャーどころのハイキングルートをまわってみることにした。

 まず散策したのは車山湿原に向かうルート。このときちょうど、6月の高原を代表する花でもあるレンゲツツジが見頃を迎えており、広い緑の絨毯の中に点々とオレンジの花が群生していた。高原は花のイメージがあまりなかったので、これほど色が散りばめられている状態にとても驚かされた。空の青、雲の白、高原の緑、そして鮮やかなオレンジ。絵画の中にいるような、日常では見られない景色。上空の風が強いのか、雲に太陽が隠れたりまた現れたりという陽射しの明暗もころころと変わり、様々な表情を見せてくれたのがとても印象深かった。

 バスですでに車山山頂に近い標高までは登っている。事前に見たガイドでも山頂まで20分と書いていた。ハイキング気分で登りきれるだろう。そんな甘い考えは簡単にくじかれた。傾斜はさほどないものの、40分ほどしっかりと歩いたと思う。道ははっきりとしていたものの、大きめの岩が足場をなしているという箇所がいくつもある。ちゃんとした靴でなければ足への負担は相当なものだろう。登り始めこそレンゲツツジがちらほら見かけられたが、登るにつれ徐々に明るい色は山からなくなる。上を見ると空と高原のみだが、下方をみれば、先ほどまでいたころぼっくるひゅってを遠くに眺めつつ、斜面に伸びる灰色のビーナスライン、その道に沿って車やバイクが時折大きな排気音をたてながら進んでいく。ミニチュアを見ているような光景で、自身がいる高さを実感できる景色。頂上までの道のりが、まっすぐ進むというよりは大きく蛇行しながら緩やかな傾斜で登り進むものなので、下方に見える景色も進むにつれ変わってくる。360度カメラで録画しつつ、気になる場面があればスマホでも写真を撮ったりしながら、ゆったりとした足取りで頂上を目指した。

 大きな岩が地表にたくさん見え始めてからしばらく登ると、大きな白い球体を乗せた建物が見えてくる。これは「車山気象レーダー観測所」という建物で、これが頂上の目印になっているようだ。

 頂上の空間は非常に広く、くつろぐためのテラススペースが大きく設けられている。まずはぐるっと頂上の縁をなぞるようにまわってみる。ここまでの景色にくらべより遠くが見える。天気が良いなかで厚みのある雲がかかっているので、山肌に雲の影がはっきりと現れ、まだらな模様を作り出しているのがとても綺麗。景色に見とれていると時折風に煽られる。天気の変わり目が近いからなのか風が強い。帽子を被って登っていたが、飛ばされてしまいそうだったので鞄にしまった。一通り景色を堪能したところで、今日のもう一つの目標を遂げるため、準備にとりかかった。

 朝起きて家を出る前に、コーヒーを淹れて水筒に入れてもってきていた。自分の淹れたコーヒーを山の上で飲む。コーヒーを自分で淹れ始めたときから、アウトドアでもコーヒーを楽しみたいという思いを抱いてた。その最初のステップとして、まずは家で淹れて持って行く、ここ車山でそれが達成できた。このときもっていったコーヒーは、東京コーヒーフェスティバルで購入した ignis のコーヒーフィスティバルブレンドの豆を使用して淹れたもの。スパイシーな刺激的な風味の中に、ラベンダーを想起させるフローラルさを兼ね備えたコーヒー豆。その香りの広がり方はとてもインパクトがある。時間経過による風味の変化も大きなものであったので、遠出するにはあまり向いていなかったかもしれないと、頂上で風味を確認したとき感じた。それでもこのコーヒーを頂上で飲んでいる間は至福の時間だった。

 頂上でしばらく景色とコーヒーを堪能したところで、今度は来た方角から反対の方角に進んで下山していく。実は車山の頂上には、車山高原側からリフトで登ることができる。頂上で写真を撮る人の中にヒールを履いた女性がいたので、このリフトを最初知らなかった自分は「その靴でここまできたのか?」と驚きの表情でその女性を眺めていた。近くに車山スキー場があるのでリフトがあることは想像できたが、思っていた以上に頂上に近い場所まで続いていた。車山肩からの経路は緩やかな斜面であったのに対して、車山高原からの道は非常に急で、頂上付近は足場の狭い階段となっている。時間にも余裕があったので、歩いて散策しようと階段を降り始めたのだが、足場の狭さと傾斜を体感すると「リフトでもよかったかな」と思わずにはいられない。前方を進む家族連れは幼い子供もいて、この急な階段を子供に歩かせるのかという驚きと、子供に対する称賛がないまぜになった気持ちを抱いたりもした。急斜面というのは景色も広く見渡しやすいという一面もあるのだが、足元に注意を向けなくてはならず、なかなか景色をゆっくり拝むことができない。片手に360度カメラを握っているというのも足元が不安になるひとつの要因だっただろう。今度はマウントとかも考えないとな。

急な斜面を降りていたことで、すぐにレンゲツツジが現れるぐらいの高さまで降りてきた。おそらく雪のシーズンでは林道コース(あるいは迂回コース)として用いられているのであろう道を進んでいく。ゲレンデとしての景色はどうなんだろうかという想像をしながら降りると楽しい。すこし傾斜がなだらかになったかなというところで、TOPS360°というレストランがあったので一度休憩を取ることにした。下り坂は体力よりも関節への負担が気がかりなので、早めの休憩は大事。

 動画投稿者の主食(?)となるソフトクリームとコーヒーをいただく。ソフトクリームのコーンの部分がラングドシャのクッキー生地のような素材になっており、少ししっとりとした食感だったのが新鮮。そしてコーヒーはフレンチプレスの器具で提供されており、深煎りと中煎りのどちらかを選べるというのもこだわりを感じる。ソフトクリームとコーヒーがともにコクのある風味をもっているので、重厚な味わいが口の中にしっかりと残るのが印象的だった。ここは事前に寄る予定はなかったものの、時間的に余裕があったことでいい発見ができた。今度はぜひとも冬のシーズンに訪れたい。

下に降りていくにつれ、なにやら賑やかな音楽が聞こえてくる。どうやらこの日、音楽イベントが車山高原でやっており、ハイキングコースもこの期間だけ変わっていた。正直後半はあまり見どころというものはなく、しかもかなり賑やかな雰囲気で、自然を堪能するといった感じではなかった。大きな荷物を背負った自分の見た目もだいぶ場違い感があったので、ちょっと居心地は良くなかったので、そそくさとバス停の待合室に隠れるように入り込んだりした。車山湿原をぐるっとまわるようなコースが良かったかもしれない。

 車山高原からバスに乗り上諏訪駅まで戻る。車山高原のバス停にいるときから旅の終わりを意識してしまい気持ちが徐々に静まる。行きのトラブルが起こったときはどうなるかとも思ったが、今はとにかく満たされたという気持ちが大きい。ころぼっくるひゅっては想像以上の環境と食事、車山までの景色も見応えがあった。体を動かすのが好きな自分にとっては心地よい程度の負荷のハイキング。天気も恵まれ、総じて最高の1日と言える旅だった。こうして1日を上諏訪駅の足湯につかりながら振り返ることができるのも最高。来たときに「駅構内にあるのか」と驚くとともに「帰りに時間があれば寄ろう」と思っていた。今度来るときは替えの靴下を持ってきておくと良さそうだ。こういった旅先のちょっとした巡り合いというのが旅の醍醐味でもある。

 360度カメラの録画は「どんな映像が撮れたのかな」という帰ってからの楽しみにもなっている。スマホのアプリなどを使えば道中の時間があるときに確認することもできるのだが、電池や手間の都合もあり帰ってからまとめて確認しようと判断していた。しかしこれが仇となる。専用のソフトで動画を開いて、色んな方向の景色を確認しようとしてみるが、画角が変えられない。よくよく確認してみると、なんとシングルカメラモードで録画してしまっていたのだ。これはスマホで動画を撮るのと同じようなもので、360度カメラで録画しているのに360度を撮っていないという、なんとももったいないことをしてしまっていた。数本撮った中で1つだけ360度カメラモードになっていたが、他はすべてシングルカメラモード。山頂の展望台からの映像もシングルカメラモード。もっと広く映せるはずの景色も、一方向で切り取ったものになってしまっている。なんてことをしてしまったのか。まぁこれはこれで再走するモチベーションにはなりますね。車山湿原や他の登山道など、車山登頂は複数回楽しめる場所だと思うので、ポジティブに捉えるとしよう。コーヒーを山頂で飲むなど、初めてのことも多く、できたことや新しい課題など、今後やりたいことがよりクリアになったと感じます。録画のトラブルを含めても、この日は本当に楽しい1日でした。

「ころぼっくるひゅって」に行ったよ

きれいな景色を見ながらコーヒー飲みたい

 大雑把な目的をより具体的な計画に落とし込むべく、ネットで「景色 コーヒー」とかで調べてみると、「ころぼっくるひゅって」というお店がやたらとヒットする。行きたいお店リストを作り始めてしばらく経つのだが、かなり初期の段階から「ころぼっくるひゅって」には注目していた。なんとなく踏ん切りがつかず、ずるずると先延ばしにしていたが、360度カメラを手に入れたことで景色の撮影というモチベーションも湧き、今年ようやく行動に移すことができた。しかしこの旅は出発前から躓くことに。

 「ころぼっくるひゅって」が有名ということもあり、少しでも混雑しないほうがいいかと月曜の平日に旅程を組んだ。予定2日前の土曜日、必要な道具なども買い揃え、気持ちや時間にも余裕がある。念のため当日の動きを確認しておこうと、旅程のスプレッドシートを開く。やはり心配なのは本数が少ないバスの時間。上諏訪駅でのバス停までの道のりと時間的猶予について改めて確認していると、ふと時刻表に書いてある文面が目に止まった。

「4⽉27⽇〜10⽉27⽇の間の⼟⽇祝⽇及び7⽉27⽇〜8⽉25⽇の毎⽇運⾏」

ちなみに散策予定は6/17の月曜日。乗る予定のバスが運行していない。なんで今まで気づかなかったのか。上諏訪駅以外の経路も調べはしたが、散策するための時間が十分に取れない。これはさすがに延期かなと思いながら、明日(日曜)の特急の空席状況を見てみると、まだ空きがある・・・

「明日行くか!」

特急券をネットで確保し、準備のために広げていた荷物をすべてカバンに詰め込んで、他にすべきことはないかと心配を抱えながら無理やり眠った。結局出発前から余裕なんてないのだ。

 翌朝、特急電車への乗車まで問題なく移動でき、あとはゆっくりと上諏訪駅を待つのみ。自身の席を見つけ、背負っていた荷物をおろし、耳にはめていたAirPodsを片方外して収納、もう片方をはずして収納しようとしたら手元からイヤホンがこぼれ落ちた。座席の下に転がるところまで見えている。すぐにかがんで座席の下を探したが、見つけることができない。遠くまで転がったのかと、後ろの席、更に後ろの席と確認したが、見つからない。前の座席も確認したが見当たらない。iPhone のデバイスを探すアプリを使用して、落としたイヤホンから音を出してみると、音ははっきりと自身の席と後ろの席の間から聞こえる。改めて座席の下を覗き込んだが、全く見つけることができない。近くにあるということはわかるだけにかなり歯がゆい。そしてこの大捜索、座席に人がいる状態で、周囲にペコペコしながら捜索していた。見つかれば「よかったよかった」と笑って終えられるのに、見つからないために周囲の目が本当につらい。通りかかった車掌さんにより「車庫に入ったら探すから」と捜索終了を告げられ、大人しく座席に座ったものの、しばらくは嫌な汗が止まらない。旅の始まりはとても苦しいものだった。

 上諏訪駅につき、出発時刻よりもかなり前から停車しているバスに乗り込む。座席が埋まる程度には人がいる。タイヤに近い席に座ってしまったために足元が狭く、荷物もあるため窮屈だ。出発してから1つ目の停留所までの間に結構な坂道を登っていく。バスからの景色もかなり遠くまで望むことができたが、しばらくすると杉林に囲まれ何も見えなくなってしまった。景色が見通せなくなるタイミングを見計らってか、霧ヶ峰を紹介するアナウンスが始まった。こんなものもあるのかと少し聞いていたが「次止まります」のボタンが押されたことでガイドは中断し、途中から再開ということもなかった。

 霧ヶ峰は広く、散策できるエリアがいくつかある。その中で自分が最初に目的地としたのは車山肩。バスを降りた場所からすでに雲が近く、青空の広がりに反して暑いという印象はない。日差しがないわけではないのだが、全身を囲う大気があまり熱をまとっていない。加えて風が心地よい冷気を運んできている。半袖ではすこし身震いしてしまうかもしれない。それはそれとして、山の景色を楽しむよりも前に、まずは「ころぼっくるひゅって」に向かった。ゆるキャン△の影響もあって人が集まるだろうことは予想できたので、最初にここに立ち寄って早めに腹ごしらえをしておくことにした。

 やはり並んでいる・・・

ある程度は並ぶだろうと思っていたが、想像以上だった。バスでのアクセスでは一番最初なのだが、10時半時点で駐車場が車で埋まっており、このお店が目的という人も多いのだろう。周辺を散策してから再度訪れようかと考えていると「3組まで中にお入りください」といったアナウンスとともに列が一気に前に進んだ。意外と回転はいいのか?一番の目的でもあるお店だし、ここは時間を取ってもいいかと意を決して並ぶ。自分の前に並んでいた家族連れの子供が空を指さして「なにあれー」というので、自分も含め周りが空を見上げる。遠くに薄く細長いフォルムのグライダーが飛んでいた。霧ヶ峰は日本のグライダー発祥の地としても有名なんだそうだ。事前にハイキングについて調べたりしたけど、グライダーについては何も気づくことができなかった。やはり現地に行くことで新しく知ることというのがありますね。

 

 20分もしないうちに呼ばれ店内へ。並んでいた割には席が空いている。中には売店もあり、お土産を選ぶお客さんもちらほら。お店の中が混雑するのを避けるために、店内に入れる人数を制限しているようだ。そして家屋の奥には陽射しによって明るくなっている屋外ラウンジ。ここからの景色がとにかくすごい。スクリーンで映しているのかと思えるほど、別世界を感じさせるような視界の広がり。テーブルのすぐ向こうが斜面となっていることで、遠目に山を見るというものではなく、視界いっぱいに緑が広がっており、より近くに自然を感じることができる。この景色を一番楽しめる席というのがラウンジの一番奥にある席なのだが、この日は運良く座ることができた。

 そしてこの景色を見ながら、一番楽しみにしていたサイフォンコーヒーと、材料が入ったときだけしか頼めないプレミアムはちみつトーストをいただく。

最高ですね

 行きのトラブルなんてどうでもよくなる。厚みのあるトーストに染み渡るはちみつは、しっかりと甘いのにしつこさを感じさせないとても上品な味わい。市販のはちみつよりも、ベタつきというものを感じない。コーヒーは主張が強いようなものではなく、他の料理との食べ合わせを考えられたような、非常に苦味と酸味のバランスが良い風味。コーヒーの油分を感じやすいというのはサイフォンの特徴なのかもしれない。どこの豆を使っているかということまではわからなかったが、コロンビアの豆のような飲みやすさがとても印象的だった。トーストだけではこのあともたなそうだなと思ったのでアップルパイも注文。ごろっと入ったりんごが食べごたえもあり、トーストの甘みと相まってりんごの酸味が心地よい。

 環境、コーヒー、食事どれも最高のものが揃う場所だ。ただちょっと気をつけないといけないところは、自然に近く時期的なこともあり、小さい虫が飛んでいたりもするので、食べ物につかないように注意が必要になる。

 ころぼっくるひゅってをあとにして、車山湿原や車山登頂にといったところで一旦区切る。一気に書こうかと最初は思っていたが、想像以上に長くなってしまった。旅の序盤までにいろいろありすぎたね。

岩原スキー場で滑ったよ

 往路がとにかく心配だった。できるだけ早くに現地つければと、路線検索してみたら各乗り換えの所要時間はどれも10分未満。新幹線への乗り換えも含めてなのだからこれはしんどい。ボードも担いでいるので、走って移動するなんてことも難しい。そのため、事前に何号車のどのドアから乗り降りすれば乗り換えがスムーズになるかというのも調べていた。越後湯沢駅での岩原スキー場行きのシャトルバスへの乗り換えも10分しか余裕がないので、越後湯沢駅のエスカレーターに近い車両というのも調べていた。これまで始発で東京駅に向かうということはこのシーズンによくあったのだけれど、乗り換えの最適化を考えたのはこのときが初めて。これまで考えもしなかった自分に少し呆れてた。

 現地までの道のりの不安は乗り換えだけではない。新幹線のチケットは自由席だったので、座れるかどうかも不確定だった。始発駅とはいえ、この時期の越後湯沢、ガーラ湯沢に向かう新幹線はいつも大混雑。団体でまとまって座るには指定席の予約必須。東京駅までの乗り換えはスムーズにでき、いざ新幹線のホームに出ると、目的のドアの前にはすでに10人以上が並んでいた。10分後に出る新幹線の待機列、早朝とはいえやっぱ並ぶよなと諦めにも似た思いが湧きつつ、最後尾に並んで新幹線を待った。ここで予想外のことが起きた。乗車する新幹線はホームに停車しているのに、発車予定時刻を過ぎてもドアが開かず乗車できない。車両点検が発生していた。5分ほど過ぎてからようやく乗車でき、思っていたよりも空きのある座席状況ではあったが、予定時刻を10分過ぎてから東京駅を出発したことに不安がつきまとい続けた。越後湯沢駅でバスの乗り継ぎ時間は10分。越後湯沢駅到着までに少しでも挽回してくれと祈るしかなかった。

 東京駅を出て1時間半ほどで越後湯沢駅へ。途中の停車駅が少ないことで、上毛高原のときよりも早くに到着できる。観光地としてのアクセスの良さに感動しつつ、ボードを担いで早足で改札をくぐってバス停へ。目的のバスはすでに停留所に来て乗車が始まっている。雪で足元が不安で、進行速度を上げることも難しい。目の前に現れた信号は赤を示しておりもうだめかと思ったのだが、タイミングよく青になった。これ幸いと止まりかけた足を再度動かして、なんとか最後の乗客としてシャトルバスに滑り込むことができた。目的地到着までの時間を競っているわけでもないが、このときの達成感はひとしお大きかったですね。

 岩原スキー場へのシャトルバスは、リゾートセンター1とリゾートセンター2という2箇所の停留所あり、どちらも岩原スキー場の管理する施設で、どちらも着替えやコインロッカー、リフト券売り場といった、滑りに来た人たちを迎えるのに必要な施設が揃っている。自分が降りたのは先に到着するリゾートセンター1の方。早朝に来るならこちらの方が混雑しづらいと聞いており、実際に利用してみると施設としては大きくないがスペースなどは余裕があった。ボードやウェアを一つの袋に入れていることもあり、大きく広げられるスペースがほしい自分にとってはとても助かる。リゾートセンター2の方は日帰り温泉もあるようなので、温泉も利用したい場合はこちらを利用しよう。

 もろもろ準備してゲレンデへ。天気は生憎の曇り空で、少し雪がちらつく。しかし自分は高揚感があった。いろいろ不安を抱いていた往路が結果的にうまくいったこともあるが、そもそもこの日滑りにいくきっかけとなる新しいガジェット、Insta360 x3 をようやく試せるという気持ちがあった。これまで GoPro で録画してはいたものの、どうしても体を横に向けるスノーボードでは、映像が片側によってしまって見づらいという気持ちがずっとあった。長らく悩んでようやく決心して手に入れた Insta360を使い倒すためにも、まずは慣れなくてはと急遽岩原スキー場に行くことを決めたのだ。

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 リフト乗り場の前でヘルメットにInsta360をセットしてみる。フォルムが直方体のような形ということもあり、Insta360をつけたヘルメットを装着すると、さながらユニコーンのような見た目になる。でもこれが公式の動画で紹介されてた使い方のひとつ。子供連れの団体がけっこういたのだけれど、「なんだあれは?」と話題になっていないことを祈るばかり。GoProのときよりもかなり目立つ気がする。どのように写っているのかをスマホの専用アプリから確認してみるが、滑りながら確認するわけにもいかないので、滑る前に大まかに確認だけして録画をスタートさせた。

 景観は望めないものの、板から伝わる雪質は非常に滑りやすく、転倒してもさほど痛くなさそうな柔らかさ。コースの広さも相まって、この日は全体的に余裕を持って滑ることができるコンディションだった。機器の確認がメインの1日だったので、滑りにさほど注意を向けなくていいのが嬉しい。到着してすぐは、一番上に登るリフトがまだ動いていない状態だったので、メインバーン、ワイドバーンの広い初心者コースで足慣らしをしつつ、ウエストコースの中級者コースを交えて、グランドバーンに続く長めのコースを滑った。

 ワイドバーンを滑るときに、自撮り棒の先にInsta360を取り付け、自撮り棒を掲げながら滑るというのも試してみた。斜め前ぐらいに掲げながら滑るのは問題ないのだが、自撮り棒を逆手に持ち、カメラが自分の後方にくるような状態で滑るのは断念した。あまりにも重心がずれるというか、後方でふらつくカメラの振動によって板もふらつくといった状況を生んだ。滑っててこわいと感じるほど。公式の動画では「こんなふうに撮ってみても面白いよ」みたいな感じで紹介されていたと思うのだが、想像以上に上級者向けの撮影方法だったようだ。

 天気は回復の見込みがなく、遠目から頂上が霞んで見えるような状態で、頂上につながるリフトが動き始めた。安全に滑れるのかという不安もありながら、せっかくきたし上まで登っておくか、とわりと軽い気持ちで挑んだ。リフトに相乗りしたスキーヤーの方に話しかけられ、談笑しながらリフトの上で過ごしたりもしたけれど、上からの景色をみて少し後悔。視界が悪いというのはわかっていたけれど、圧雪と非圧雪の境目どころか、どこから坂になっているのかも遠目からではわからない。突然斜面が現れるんじゃないかと思うような、雪面が不思議と平面に見えるような視界だった。中級者コースの迂回路を進んだものの、途中からコースがはっきりとわからない部分に差し掛かり、慎重に進んだが非圧雪の部分に入り込んで埋もれた。これはだめだと上部のコースはこの1回きりに。怪我したくないしね。

 10時半前ごろ、ここでランチを取ると目星をつけていたお店は、開店前から列ができている。10時半開店だから11時前ぐらいにいけばいいかなと思っていたのだが、列を見て慌てて自分もこれに並ぶ。他のレストランには列などで来ておらず、ここを目当てにしている人たちの多さに驚いた。お店の名前は「ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ」といい、薪窯焼きピッツァが有名。以前このゲレンデに来たときは食べれなかった、というかこのお店の存在を知らず、今度来たときはと心にとどめておいた。それにしてもここまで早くに人が並ぶとは思わなかった。お店の場所を確認しておくかと早めに見に来ておいて本当に良かった。並んでいるとはいえ前の方にいたのですぐに入れるかなとも思ったのだが、店員さんから「この時間に来てください」と「10時45分」と書かれた札をもらった。滑るにしても時間がなさそうなので、近くの雪と少し戯れつつ時間を待った。

 

 お店に入って通された席は端っこの窓際。食事を楽しみながら外を眺めることができる絶好のポジション。しかし12時までという時間制限があったのであまりゆっくりとはしていられない。早々にピザを選び、合わせてコーヒーと日替わりケーキも頼んでおく。選ばれたピザは「クワトロフォルマッジ」。お子様と言われそうな、はちみつの甘い風味を含んだピザだが、自分はこのピザのこれでもかと言わんばかりのチーズの重厚な風味が好きで、ピザと聞いたらとりあえずこれをよく頼む。4種のチーズによって生まれる斑のような味と香りの変化を堪能した。めちゃくちゃ美味しくてあっという間に1枚まるっと平らげてしまった。1枚は大きいかと思い少し小さいサイズにしたのだが、食べ終わってみるとまだだいぶ余裕があったので、元のサイズでもよかったかもしれない。

 そしてデザートにと頼んだのはブルーベリーのタルト。ブルーベリーを使ったケーキでタルトというのはあまり見たことがないなと思い目が止まった。ケーキだけが来るのかと思ったが、花をもしたチョコ、いちごと生クリームがのった、コース料理で出てきそうな装丁で、見た目にも綺麗。そしてコーヒーはこのお店のオリジナルブレンド。非常にクリアな印象があり、スッキリと飲みやすい。様々なデザートが提供されることもあってか、主張は強くなく、どのような食べ合わせでも美味しく楽しめるような風味になっているように思う。ゲレンデ食としてはそこそこ値の張るメニューではあるが、雪景色を見ながらこれだけ美味しいものがいただけるというこの空間はそれだけの価値があると感じた。

 お腹を満たしたあと2本ほどウエストコースあたりを滑ったところで、足に違和感を感じたので、荷物のおいてあるリゾートセンター1へと向かうことに。時間はまだ13時にもなっていなかった。ケガへの不安が大きいというのもあるが、リゾートセンター1までに中級者コースを通らなければならないのだ。そしてこの中級者コースが、頂上のコースよりも自分に不安を抱かせるものだった。傾斜や幅は特に問題ではない。雪質が明らかに違う。人が何度も通ったからなのか、日が当たらなかったからなのかよくわからないのだが、板の滑りがよくない。硬めというのはわかるが、必要以上に引っかかる感覚。これはやばいと感じ、とにかくゆっくりと滑り降りることにした。普通に滑ったらどんな形で転倒するかまるで予想できず、とにかく怖い。下まで滑り降りたときの疲労感はかなり大きいものだった。

 着替えて荷物をまとめ、郵送しようとしたら店員さんから「専用のカバーが必要になります」と言われた。クロネコヤマトではボードなどゲレンデで使用する大型の荷物に対して、専用のカバーを付けないと運ばない、といったアナウンスが出されていた。しかしたんばらスキーパークでは特に言われなかったので、そんなに気にすることはないのかなとも思っていた。仕方がないので専用のカバーを買う形で処理してもらったのだが、スノーボードのサイズのカバーを出すのに店員さんが手間取る。どのカバーが対応したものなのかわかっていない様子を見ると新人さんっぽい。シャトルバスまで10分以上余裕があるわと思っていたが徐々に不安になってくる。カバーを見つけた店員さんが、カバンを包むのに手間取りそうだったので自分も手をかすことに。「ありがとうございます」と言われたものの、内心では「バスに間に合わないと1時間ここで待ちぼうけになるからね」とか考えていたので変な笑顔で返していたかもしれない。そんな軽いトラブルはありつつも、無事シャトルバスに乗って越後湯沢駅へ。この日はここでも寄りたい場所があるのだ。

 目的のお店は駅構内にあるカフェ「んまや」。名前が特徴的なこのお店の提供している「温泉珈琲」というのが気になっていた。フレンチプレスに入った状態で提供され、砂時計の砂が落ちたら自分でプレスして濾し、マグカップに注ぐ。この一連の作業をお客に委ねる形もあるのかと感心したけれど、淹れたての香りを感じやすい提供方法なのかもしれない。また、この提供されたコーヒーの風味がどちらかと言うと酸味のほうが特徴的で香りも甘さを感じさせるような感じ。よく喫茶店で出されるようなコーヒーかなと漠然と思っていたのでなかなか衝撃だった。一緒に頼んだ温泉プリンも重厚でしっかりとした舌触りで美味しい。コーヒーに合わせてなのかもしれないが、甘さは控えめかな。フレンチプレスで淹れていることもあり微粉が結構残るので、あまり時間をかけて飲んでいると風味がけっこう変化するかもしれない。豆について特に説明書きのようなものはなく、販売もされていなかったので、店員さんにどんな豆を使っているのかと聞いてみると「key coffee のトアルコトラジャ(インドネシア)だよ」とパッケージを出してくれた。市販されてるやつだったとは思わなんだ。しかしそれを、湧き出る温泉水を使って淹れており、ここがこのお店の特徴となる。温泉水を使っているのは名前からもわかるのだが、コーヒー豆が市販のものという点のほうが自分は興味を引いた。今度家でも試してみて、このお店の味と比べてみたい。

 お土産を物色して新幹線のホームへ。14時すぎというかなり中途半端な時間にも関わらず、東京方面に向かう観光客は多く、自由席に座れるか不安になったりもしたが問題なく席を確保できた。そして新幹線に乗ったところで、新幹線で飲食するものを買っていないことに気づいた。爆弾おにぎりなど事前に候補を決めていたにも関わらずだ。予定していたものがないとなると余計にお腹が空くもので、新幹線で帰路についている間は口が寂しかった。しかたがないので、Insta360のスマホのソフトで編集とかを試したりもしたのだが、無線で繋ぎっぱなしにしておかないといけなかったり、AI編集なるものを試すと長時間スマホで他のことができないといった状態になるので、編集は帰ってからPCですることにした。雪山にいくときは同時に読書がはかどるので、このシーズンが本当に好き。

 そして帰ってから、いざ専用のソフトで録画したものを確認してみる。感動した。これまでGoProで撮ったものは視界が右寄りになり、そして左右のターンのたびに大きく横に動くのだが、まるで真っすぐ進んでいるかのような映像で見れる。視点も自由に変えれて、自由度の高さも想像以上。なかでも自撮り棒で撮った映像は、スピード感もある程度感じられるような画角で撮ることができており、見栄えが違う。ヘルメットに付けたものも十分きれいに見れるのだが、ときおり自分が映り込む姿がすこし見ずらいと言うか、大きく画面に写ってしまう。これからの録画はもっぱら自撮り棒を使ったものになりそうだ。専用の編集ソフトで色々な見せ方ができるというのも楽しい。今後作る動画の変化を思うと、編集意欲も湧いてくるもので、次の「小春六花の雪山冒険記」の動画は早く仕上げることができるかもしれない。そして次のゲレンデへの期待感も同時にあがった。この日の雪山は機器のテストがメインだったが、録画映像も想像以上、ゲレンデも十分楽しみ、飲食も堪能でき、最高の1日となった。

たんばらスキーパークで滑ったよ

 朝の4時に起き、ボードやウェアが入った大きなカバンを背負って、まだ朝日が登らない暁の中を歩いていく。最寄り駅近くで朝食を買って始発の電車に乗り、揺れでカバンが倒れないように足で抑えつつ座席で電子書籍を読む。このハードな一連の流れに懐かしさを感じながら、今年もこのシーズンになったなと、雪山への期待に心躍らせていた。

 今シーズン最初の雪山は「たんばらスキーパーク」。会社の同期メンバーと毎年、群馬の雪山に滑りに行っており、今回はいくつか候補がある中でリフト券の割引が使える場所ということでこの雪山が選ばれた。yukiyamaアプリは割引券ももらえてとても助かる。

 新幹線でうたた寝してしまい、危うく乗り過ごしそうにもなったがなんとか友人と合流。雑談しつつ友人の車でたんばらスキーパークへ。同じメンバーで去年も滑っていたが、引っ越しなどで以前から近況が大きく変わったこともあり、共有する情報はお互いに多かった。

 たんばらスキーパークに到着。ここは以前腕の骨にヒビが入ったことのある思い出の地。友人からも「トラウマを克服しないとな」とエールが送られる。トラウマと言うよりもはやネタのような扱いである。車の中でいそいそと着替えGoProなど準備して、リフト券売り場の列に並んで、割引券の画面をアプリで表示させようとするもアプリの起動が遅い。yukiyamaアプリは記録するものとしていいのだけれど、どうも負荷に弱い。受付の前で少しまごついたりもしたがなんとか人数分のリフト券を購入した。ブーツ、ヘルメットの紐を締め、手袋も装着。板は片足だけはめて、いざゲレンデへ。

 この日のコンディションは滑り始めこそ晴れていたものの、滑るたび徐々に雲が空を覆い、雪がちらついて遠くの視界が白くなっていった。久々のスノーボードということで、感覚を掴むために初心者コースをノロノロと降りていく。一緒に滑っている友人はいつもならスピードを出してさっそうと前を滑っていくのだが、最近の運動不足を心配してかゆっくりとコースを蛇行して滑っていた。

 1度目で少しは感覚が掴めてきたので、リフトを降りて左手側に進んだ先にある中級者コースを滑っていく。このコース、以前訪れたときに腕の骨にヒビが入る転倒をしてしまった因縁のコースで、否が応でも力んでしまう。正面に玉原湖を望む景色のいい場所でもあるのだが、この日最初にこのコースを滑り降りるときはとりあえずコースどりを誤らないようにと、遠くを見る余裕がなかったように思う。ケガをしたときのような、硬い雪質と違ったことも幸いしてか、無事転倒せずに1本滑り降りることができたことで、このあとの滑走では気持ちに余裕ができたと思う。といってもあまりスピードは出せなかったが。何シーズンすべってもなかなかスピードを出すのはなれない。

 3本ほど滑って早めにお昼休憩。体力もみんな探り探りといった様子なのが年齢を感じさせる。昼食はゲレンデ食恒例のカレー。写真撮り忘れた。このとき気づいたのだけれど、自分含めてみんなメガネを付けて滑っている。これはけっこう珍しいのでは?いつもメガネの人も、スノーボードやスキーのときはコンタクトをつけるというケースを良く見てきたので、3人全員がメガネのままの装備というのがちょっとおかしかった。ひとりは全身緑の装備だったり、自分はGoProをヘルメットに付けてるしで、よそからみたらけっこう目立つメンツなのかもしれない。

 昼食後、少し雪がちらつく中、中級者コースを数回滑った。たんばらスキーパークのコースの数はさほど多くなく、高速リフトも1つということもあり、同じコースを周回することが多い。このときの映像も録画していたのだが、どこかの拍子にGoProが上を向いてしまったようで、まともにコースが写っていない映像になってしまったのが残念だった。中級者コースのもうひとつのコース、レイクウッドコースを滑ったときの映像も残しておきたかったね。途中の合流箇所がおもいのほか平坦で驚いたと同時に、滑りきれるか不安になってた。滑りやすいコースなんだけどこれまでなぜか滑ってなかったコースだったので、また今度行ったときは映像に残しときたい。

 体力も心配なので、数本滑ったら再度休憩を挟んだ。ここのレストハウスには、costa coffee のコーヒーが提供されている。スーパーなどでも買えるコーヒーの中では個人的にお気に入りのメーカーなので、味わい深いコーヒーがゲレンデで飲めるのはとてもありがたい。

 再度滑り始めたものの、2回滑り降りたところで下半身に筋肉疲労からくる軽い痛みを感じ、次の滑走を最後に下まで降りていくことにした。以前怪我をしたのが最終滑走だったということもあったので、無理をしないというのが1日を通しての心構えだった。朝早くに訪れ、滑った回数としては少ないが、長めの休憩を2回とったことでゲレンデを離れるのは15時頃となっていた。雪質の助けもあり、今シーズンの最初の滑りとしては上々といったところ。

 友人の案内で日帰り温泉に寄り、そしておおぎやでラーメン、餃子、チャーハンのこってり夕食。疲れた体にどちらも効果テキメン。雪山よりもこちらの満足感がメインなのではないかと考えてしまうほど。おおぎやというお店初めて訪れたが、関東でいくつか展開しているらしく、友人は埋まりきったスタンプカードを2枚も持っているほどの常連。タッチパネルでの注文の際、このUIはどうなんだといったいちゃもんで盛り上がりつつラーメンを待つ。UIが気になるのは職業病みたいなものかもしれない。運ばれてきたものを食べ始めると、みんな食べることに集中してしまいわりと静かだったと思う。めちゃくちゃうまかったからそら夢中になるわな。

 眠気と戦いながら新幹線の中で友人と喋りながら東京へ。ボードやウェアといった装備一式は、スキー場で宅配を依頼したので手荷物は少ない。あの大荷物を持って家まで帰る体力は今の自分にはない。というか一度宅配にお願いして帰りの負担の少なさを知ってしまうと、もう自分では持って帰るまいと思ってしまった。持って帰って荷物を整理する気力もないだろうし。宅配業者の方には感謝しかない。五体満足で家に帰ったことで、怪我なく帰るという目標は果たせた。そして録画した動画を確認してみると、上を映したものばかり。マシな録画も、前方と言うより少し横を映したものが多く、少し見づらいようにも思う。スノーボードで録画するには、やっぱり360度カメラに頼ったほうがいいのかな。

 録画において少し課題の残る雪山ではあったものの、今シーズンの到来を実感できて楽しい1日だった。

宇和島に行ったよ

 親族の集まりが急遽発生し、宇和島に行きました。1日だけ時間をもらいいろいろと見て回った時の記録。

 朝起きて、昨日のうちに近くのスーパーで買っておいた惣菜パン、菓子パンで朝食を済ます。宇和島ならではのものがあればなと思ったのだが、生ものが多く朝食に適したものがない。仕方がないのでローカルの菓子パンメーカーのパンを購入していた。味は・・・普通。

 この日の朝の天気は小雨といった程度で傘はささなくてもいいかなと思える空模様。まずは丘の上にある闘牛場に向かいます。歩いて30分ほどの道のりなのですが、高低差が100m近くあるのでそれなりに負荷のかかるハイキング。途中、GoogleMapにのっていない、宇和島市立和霊小学校の通学路の経路を進みます。木々が生い茂り、頭上を覆うように枝がのびる。おかげで雨を感じなくなっていた。この道が自分にとっては非常に思い出深い道で、幼い頃、年に1,2回、親に連れられて宇和島に訪れていたのですが、子供の自分にとっては宇和島に遊び相手がおらず、時間を持て余していました。そんなときによくこの闘牛場まで続く坂道を登って、小学校の運動場や、更に上った先にある丸山公園というだだっ広い公園で、壁に向かって無心にボールを蹴り続けていました。当時は早く帰りたいという気持ちばかりでしたが、今は持て余していた時間でもっと宇和島のいろいろな場所をまわっておけばよかったなと思いますね。このあたりの魅力を知るにはあまりにも幼かった。

 闘牛は年に4回大きな催しがあり、直近では8/14に「お盆場所」が予定されています。今回訪れたときは何も予定がないので人は誰一人いませんでしたが、シャッターが少し開いていたので、中の様子を伺うことはできました。この場所は闘牛だけではなく、時期によっては相撲の大会なども行われています。近くには梅園や、桜が咲き誇る遊歩道など、1月から春にかけても観光客で賑わいをみせます。

 闘牛場、丸山公園までの道のりに懐かしんだら、今度は道を下っていき和霊神社の方向に。和霊神社の前に位置する和霊公園にまずは訪れます。このときには雨もやんでおり曇り空によって日差しも遮られていたので、暑さに朦朧とするといった心配をしなくてすみました。和霊公園には昭和に実際に運行していたC12型蒸気機関車が展示されており、中に入ることができるということもあって、小さい頃に何度か遊びに来ている思い出の場所です。まだ午前中だからか、それとも暑さからか、それとも平日だったからか、遊んでいる人は誰一人としていませんでしたね。鳩や猫など、動物の存在が目立つ公園散歩でした。

公園にある鳥居から、和霊神社に向けてまっすぐと伸びる道には、日本一大きな石造りの鳥居、戦時中の傷跡が今も残る神幸橋。これらが歴史的に非常に価値のあるものであるということは、訪れる頻度が激減してから知った。そしてその先に鎮座する和霊信仰の総本山、和霊神社。その入口となる神門の左右には、お多福と鼻髙面が加賀げられています。これまでに何度も来た神社なのだが、お多福と鼻高面の存在にこれまで気づいていなかった。そしてこのお面をまじまじと見たわけだが、福を呼ぶにはあまりにも怖い面をしている。小さい頃にこれに気づいていたらトラウマになっていたかもしれない。

神門をくぐった先に本殿に続く階段があり、また登道を進みます。厳かな雰囲気と同時に蝉の声が響き渡る。お祭りやお盆、年末年始といった時期には人があふれかえるのですが、ここまで人の気配がなく静かな和霊神社をみるのは初めてかもしれません。本殿まで進みお賽銭を投げ入れ、そして本殿の周りをぐるっとまわる。その年の干支を描いた巨大絵馬があり、うさぎの絵馬が本殿の隣に置かれています。過去2年分の、虎と丑の絵馬も本殿の周りに保管され、見学できる状態です。丑の絵馬は2頭の牛が角を突き合わせる闘牛の絵となっており、宇和島の個性が見えてとてもいい。

 和霊神社の近くに別の神社、多賀神社というのがあります。和霊神社の神聖な雰囲気とは異なり、なんとも異質な雰囲気をまとったこの神社は、性宗教・民俗・風俗の資料などを展示した性文化財資料館がある。今回宇和島をまわるということで、自分の知らない観光スポットなどがないかと探して見つけたのがこの神社。資料館も興味本位で入ってみましたが、想像以上にとんでもないものでした。3階建ての建物の壁や天井に至るまで、隙間なく資料がびっしりと展示され、ひとつひとつをじっくりと見て回ろうものなら1日では足りないと思えるほど。なかでも海外の資料は興味深かったですね。日本の浮世絵の春画は有名なものが多いですが、海外のその地に根付いた性についての神など、これまでにない価値観を知るいいきっかけになったと思います。ただまぁ子供の頃に知らなくてよかったですね。

朝から動き周り流石に疲れてきたのでお昼休憩。宇和島の郷土料理が食べられる駅近くの食事処「かどや」、そこで「さつま」と「じゃこ天」を注文。魚の身と麦味噌をすりつぶし出汁を加えたものを、麦飯にかけて食べるという宇和島近辺で見られる郷土料理。掻き込むように口に入れて頬張ると、魚介の旨味の詰まった風味が口いっぱいに広がります。じゃこ天も魚の身をすりつぶしてあげたもの。双方とも魚介なのだが食べごたえがある。宇和島に来たときは必ず食べたくなるんですよね。ご飯のおかわりがサービスだったこともあり、たらふく食べ、お昼の観光に備えることができました。子供の頃「さつま」は祖父が作って振る舞ってくれたという思い出があり、ご家庭の味というのか、「かどや」の「さつま」とはなんとなく味が違う気がするんですよね。今となってはそのレシピの詳細を知ることはできないのですが、「かどや」の「さつま」を食べると、当時親しんだ味を思い出すような懐かしさも一緒に溢れてきます。

お昼を済ませたら今度は和霊神社と反対の方向に進み、向かったのは宇和島城。立派な門をくぐった先は登山道のようになっており、高い木々に囲われた道を進んでいきます。影が多いことで、登り坂を進んでいるにも関わらず、門を潜る前の平坦な道を歩いているときよりも涼しく感じます。80メートル近い高低差を上った先に、目的地の宇和島城がある。登りきった場所からのながめは宇和島駅から漁港辺りまで見通せて、午前中に歩いた距離を遠目に実感することもでき、登ったことと含めて歩いてきたという達成感が湧いていました。宇和島城の内部も見学することができるので、入場料を払って見て回りました。宇和島城は現存する12天守のひとつとして、宇和島の象徴的な建築物となっています。均整のとれた美しさから鶴島城とも呼ばれているんだとか。個人的に非常に印象深かったのは階段の傾斜がかなり急だったことですね。当時の建築では普通なのかもしれませんが、おりるときは足がすくみました。けが人がこれまで出ていないのか疑問が湧いてきます。3階からの眺望は悪くないのですが、窓には仕切りのような柱が当てられていることで、カメラで遠くを撮るのは難しい作りになっています。

 宇和島城を堪能したら今度は城山を下って天赦園へ。天赦園は宇和島にゆかりのある伊達家の隠居場所として建造した庭園。夏なので花などは期待できないのですが、雰囲気だけでも知りたいと思い足を伸ばしてみました。ところが到着した時点で時刻は16時をまわっており、閉園時間の16時半まで10分程度しかないという状態でした。宇和島城でのんびりしすぎましたね。限られた時間の中で足早く庭園を周り、丁寧に整備された草木のかもしだす荘厳な雰囲気を堪能しました。道路が近く車の音とかも入ってくるはずなんですが、園内は音が吸収されているのかと思うほど人工的な音がしません。風に揺られる木々の音もあるはずなのですが、聞こえてくるのは池でたまに鯉が水しぶきを上げるおとのみ。時期的には見頃のものがない、緑一色の景色なのですが、色味がない分静けさというものが目立っていたように思います。

天赦園の正門が締め切られる直前に敷地を出て、次に向かったのは道の駅「きさいや広場」。しかし現地についた頃には17時を回ろうかというタイミングで、お目当ての1つだったみかんソフトを出しているお店が閉まっていました。とにかく歩き疲れていたのでなにか口に運びたいと思い、陳列されているものをひと通り見て周り懐かしいものを見つけたので購入。よくお土産として買われる「大番」そしてみかんのジュース。大番の餡の甘みとみかんのジュースの酸味が疲労を抱えた体の隅々に行き渡るような至福の時間でした。あとついでに、アレンジコーヒーで使えそうなものとして、いよかんのピールも購入。帰ってからの楽しみもできました。

 行きたいところはすべて足を運ぶことができ、充足感に満たされつつ夕食へ。今度も入店したのは「かどや」なのですが、「きさいや広場」に近い漁港よりのところにも店舗があり、そこに入店。今度も郷土料理をいただくわけですが今回は「鯛めし」です。「鯛めし」と名のつく料理は日本で色々とあるようなのですが、ここ宇和島の鯛めしといえば、鯛の切り身を卵や醤油、出し汁といったタレとまぜ、ご飯の上にぶっかけて掻き込むという独特の食べ方をするもの。宇和島にいったときは「さつま」と「鯛めし」は絶対に食べたいと毎回思うのです。思いれ深いというのもありますが、なによりウマい。ここでもおかわりを重ね、普段の食事量の2倍以上はのこの日だけで胃袋に収めているような気がします。

宇和島は個人的にたくさんの思い出が詰まっており、見どころや食処がたくさんある街なのですが、大型のお店以外の店舗は軒並みシャッターを下ろしています。今後どうなるかということを考えると、どうしても暗い未来が先に頭をよぎってしまい、切なくなるばかりです。今後も折を見て宇和島まで足を伸ばしたいとは思うものの、実際は2年に1度地を踏むかどうかが関の山といったところでしょう。それでも次回は、お祭をやっているときや花が咲き乱れる春頃など、まだ見ぬ宇和島の一面が見られるタイミングに立ち寄ってみたいと考えています。次に自分が来るときまで、どうか今の魅力を保っていてほしいと願っています。

小樽天狗山スキー場で滑ったよ

 1月下旬に小樽旅行をした際に、せっかくならと旅程に小樽のスキー場で滑る予定を突っ込みました。2泊3日の小樽旅行で半日ほどゲレンデで過ごすとなると、かなり忙しい旅程になるのですが、こういう機会でもなければ、小樽天狗山スキー場で滑るということもないだろうと思い、無理やりねじ込みましたね。まぁ結果として寒波とぶつかり、スノーボードが滑る当日の昼にゲレンデに届くという、ギリギリのスケジュールに追い込まれてました。当日滑ることができたのは本当に幸運でした。

 13時頃にきた宅配便に自分のボードが含まれていたので、ゲレンデの受付からそれを受け取りまずは着替えです。着替えのスペースは広くはないですが、他に人がいなかったので余裕がもてました。ロッカーも大きくはなかったので、着替え後の荷物を入れることができず、更衣室に置きっぱなしの状態になりました。貴重品は常に身につけて滑るようにしているので盗難による被害は大きくはないですが、それでも心配にはなりましたね。まぁこの日は特にこういった被害に合わなかったので一安心です。

 着替えてまずロープウェイに乗り込みます。展望台とそこのカフェが有名で、ゲレンデを滑る人だけではなく、ここからの景色を楽しむために来る人もいて、ウェア姿の自分とずいぶん雰囲気がちがったのが印象的でした。展望台からの景色は天候に恵まれたことで絶景でしたね。見晴らしがいいことで、石狩湾向かいの石狩市あたりの陸地も見えます。街中が雪化粧しており、日差しを跳ね返すような白い輝きと、雲の影が町に広がる様はとても幻想的でした。街全体が空を映すキャンバスのようです。

 ロープウェイを上って降りたすぐ先にあるリフトは一人乗りで、このとき初めて一人乗りのリフトに乗りました。座るスペースが少ないというのはなんとも不安になりますね。バーをこれでもかと力強く握っていたのを覚えています。

 頂上からの滑走がこの日の最初の滑走になります。というのも、小樽天狗山スキー場の初心者コースは、頂上からのコースしかないんですよね。ゴンドラを降りてすぐ見えるコースは、最大傾斜40度の急斜面をもつ上級コースです。降りれる気がしません。頂上からはなだらかな傾斜が続くので、景色としては、ゴンドラから降りてすぐのところのほうがきれいに見えるものでした。初心者コースは非常に横幅が広く、悠々と滑り降りることができました。練習したりするような場所としてうってつけですね。ただ、初心者がいきなり一人乗りのリフトに乗らないといけないというのが、なかなか酷かもしれません。

 しばらくファミリーコースで足慣らしをしてから次に向かったのは、頂上から麓のゴンドラ乗り場のあたりまで滑り降りることができる、初心者コースのロングラインコース。小樽天狗山スキー場の中で1キロを超えるコースは、こことダイナミックコースという上級者コースがありますが、この日はダイナミックコースは閉鎖されており、滑れるコースの中では一番長いコースとなっていました。山の側面にそって滑るようなコースで、左側が開けており右に曲がる際に眼下に広がる石狩湾と小樽の街並みを眺めながら滑ることができます。景色に加えて、風を切って滑ることができ、非常に気持が良かったですね。肋骨にヒビが入っているので、あまりスピードは出せませんが、人が少ないことで、左右に大きく蛇行しながら滑ることができたのは楽しかったです。

 「小樽天狗山スキー場を滑れればどこでもすべることができる」

そんな話を何処かで聞いたことがありました。その言葉の意味を、中級者コースの旧コースで知ることになります。最大傾斜38度。足がすくみます。これが中級者コースだと?さらに驚いたのは、スクール生がここを滑っていることですね。レベルが高すぎる。たしかにここを滑れるなら、どこのスキー場の傾斜も滑れるような気がします。動画を取りましたが、傾斜にビビって動けなくなってます。

 38度の傾斜をなんとか生きて降りたあとも、なかなかの傾斜が続きます。コース幅はそれなりに広いのですが、まっすぐ下に伸びるコースで、傾斜が緩むようなタイミングがないのです。ひたすらブレーキを踏んでました。滑り終わったあとの疲労感が尋常じゃなかったですね。

 

 小樽天狗山スキー場はナイター営業もしています。頂上への一人乗りのリフトは止まってしまうんですが、ロングラインコースは滑ることができます。ただ、一人乗りのリフトが止まったことを知らずに、一人乗りのリフトの乗り場まで滑ってしまうと、稼働しているリフトへの道のりは、最大斜度38度の中級コースか、最大斜度40度の上級者コースを経由しなければなりません。滑らずにゴンドラで降りるというのもあります。自分はゴンドラで降りました。一人乗りのリフトが動かないときの選択肢が限られてるのが厳しいなと実感しましたね。ふるい落とされたという気分です。傾斜40度をさっそうと滑れるようになりたいものです。暗がりのファミリーコース、ロングラインコースは、山の木々の闇に加えて、奥に見える海も徐々に黒くなり、雪の白さとの縞模様が視界に広がるのが幻想的でしたね。

 リフト券は4時間のものを買っており、滑り始めたのは13時半ごろ。ナイターを滑って、夜景を見てからゴンドラを降りようと思っていたのですが、17時半ごろでは暗くなりきっておらず、北海道の3大夜景の1つをきちんと見る前に降りる形になったのが口惜しかったです。

 小樽天狗山スキー場は、各設備が新しいというわけではないですが、コース内容などに対しては十分な設備を備えているといった印象です。とにかく急斜面が多いコースなので、上級者向けのゲレンデと思います。スノーボードを宅配で送り、荷物を少なめにした状態で自分は向いましたが、宅配の対応を普段からあまりしていないようで、事前に連絡することが求められますね。1日あたり保管料として500円かかるというのも、他のゲレンデでは聞いたことがなかったので驚きました。宿泊先からの移動手段によっては、準備をした状態でゲレンデに向かうような形にするほうがいいかもしれません。コースの数は多くありませんが、それでも4時間しっかりと楽しめるゲレンデでしたね。ナイターも楽しもうとした場合、6時間のリフト券を買うのがいいかもしれません。またスタンプラリーが冬に開催された際には、滑りに来ようかなと思います。

小樽スタンプラリー3に参加したよ(3日目)

 全身が重い。さすがにここまでの2日間の疲労は、いくらトリフィート小樽運河やグリッズプレミアムホテル小樽の環境が良いといっても、自身の回復速度で抑え込めるようなものではなかった。しかし目覚めはいいのだ。ベッドに入ってから気絶するように寝て、おそらくそのまま、レム・ノンレム睡眠というサイクルを無視して、ひたすら深い眠りを続けたのだろうというような感覚。6時頃には起きて行動を開始してたと思う。この日の朝食はスタンプラリーとは関係のない場所、「鱗友朝市」に向かいます。早々にチェックアウトをし、グリッズプレミアムホテル小樽を出ると、ハートに固められた雪が並んでた。こんなにきれいに固められるんやなと感心しカメラを構えてた。

 「鱗友朝市」はなんと朝の4時から空いているという驚きの営業時間。グリッズプレミアムホテル小樽から少し距離はありますが、「鱗友朝市」のある方角には、この日の目的地、貴賓館やおたる水族館があるので、バス数駅分の雪道をのっしのっしと歩きます。まだ誰の足跡もない、夜中に降った雪を踏みしめながら、日が上がりきっていない寒空の中を20分ほど歩いて、「鱗友朝市」に到着。大きな商いの声があがっているということはなかったですが、お店の前を通るときは、お勧めの魚介を買わないかと、居酒屋のキャッチのような声のかけられ方をしたのも印象的でした。

 「鱗友朝市」の中には定食屋が2店舗あり、その1店舗「いち乃家」に入りました。カウンター席のみで、決して広いお店ではないですが、他にお客さんは1人だけだったので、狭さを感じることはなかったです。入って座ってメニューを眺め、何を食べようかとけっこう悩みましたね。海鮮系の丼は昨日食べているが、また食べるのも悪くない、ザンギの定食も美味しそうなんだけどここまで来て海鮮を食べないのもなんか違う。悩んだ末に選んだのは色んな種類の品目が食べれそうな「三点セット」を選びました。ヒレカツ、刺し身、天ぷら、こんなわがままな選択肢があるなんて。めちゃくちゃ美味しかったです。やはり刺し身の食べごたえがあるのがいいですね。一切れの厚みが大きく、歯ごたえを感じるほど身がしっかりとしています。そしてお味噌汁の出汁がいい。海鮮の出汁最高です。

 朝食を済ませ再度雪道を少し進み、バス停で祝津方面に向かうバスを待ちます。風で舞い上がる屋根の雪なんかを見ながら、晴れ間の寒空に震えつつ、やってきたバスに乗り込む。この日もバスを何度も乗ることが予想されたので、1日券を購入しておきます。

 開場前のおたる水族館に到着。水族館の飼育員さんと思われる人たちの流れにしばらく身を委ね、水族館前で一人別の道に。そこそこ傾斜のある、雪で覆われた道を疲労の残る足をなんとか持ち上げて登っていき、流刑地と名高い場所が拝める、祝津パノラマ展望台に到着です。展望台の足場は一面真っ白なんですが、新雪と踏み固められた雪がまだらな状態で広がっており、足が埋まったかと思ったら、次の一歩はまるで氷の上に足を載せたように滑りやすかったり、非常に歩きにくい。軽く膝をついてしまうくらいにはバランスを崩したりしました。

 祝津パノラマ展望台からの眺めも良いのですが、主目的はトド岩。六花ちゃんのヨーグルトを食べてしまったり、名前の読み方や漢字を間違えた罪深い人たちが送られてくる場所ですね。遠くから眺めて見える範囲では、トドは見られませんでした。季節的にこの辺りにこないのかもしれません。

  おたる水族館の開場まではまだ時間があるので、先に入れるようになる別のスタンプのポイントに向かいます。雪に埋まった祝津3丁目のバス停から歩いて10分ほどの場所にある、国登録有形文化財の「鰊御殿小樽貴賓館旧青山別邸」が目的地です。

 おたる水族館の近くにある鰊御殿を1回目のスタンプラリーのときに見学しており、その大きさや、ニシン漁で使われた道具など歴史的な資料の数々に驚いたんですが、旧青山別邸の鰊御殿は、それを遥かに凌ぐ広大さでした。レストランがあると事前の調査で知ってはいたんですが、門をくぐってから目的の建物にたどり着くまでの道のりで、漫画に出てくるような豪邸の外観そのものというのを見せつけられましたね。花梨先輩がここに住んでるといった設定になっているんですが「本物のお嬢様やん」と思わずにはいられませんでした。歴史ある建造物なので、もうすこし風化した情景をイメージしてましたが、厚い雪をかぶりつつも威厳を放つその佇まいは、逆に力強さを感じさせます。

 貴賓館の中にあるレストランでは、スタンプラリーのコラボメニューを食べられるのですが、レストランの受付は10時からで、自分はこのとき9時半頃に貴賓館を訪れていました。予定よりも早く来すぎたというわけではなく、旧青山別邸の鰊御殿を見て回ることができるのは9時からだったので、先に鰊御殿を見て回ってからコラボメニューを食べる算段だったのです。30分ぐらいで見て回れるやろうと思ってたんですけどね。規模が思っていた以上に大きく、1時間ほどはゆっくりと見て回ってたんじゃないでしょうか。入場料が1100円とお高い印象を最初は持ちましたが、満足感がゆうに超えていきました。おたる水族館近くの鰊御殿とは異なり、旧青山別邸の鰊御殿は、柱の1本に至るまで、贅沢の限りを尽くしているというような作りで、梁などの主要な柱は高級な木材が使われていたり、各部屋で使う材質を変えて違いを出したり、飾られている一つ一つの展示が、当時から高価なものであり重要な歴史的価値のあるものばかり。というかひとつひとつが大きいものが多い。部屋を囲むような屏風とか、ふすま全体に描かれた絵画とか、それひとつにいったい職人がどれだけの歳月をかけたんだと考えさせられます。芸術の分野を広く、そして歴史も知っているとどれだけ貴重であるかということがわかるのかもしれませんが、自分はあいにく芸術には疎く、そういった方面で目を輝かせるということはありませんでした。しかしそれでも魅了されるものは多かったです。そして同時に目立ったのは、作品を守るために書かれているであろう注意書きの多さです。やはり展示というのは破損のリスクを抱えるようで、手の届く位置に、遮るようなものもない空間に鎮座しているものが多く、故意でなくても傷つけてしまうといったことは起こりそうだなと感じましたね。自分も大きめのカバンを持っていたので、ぶつけてしまわないかというのは心配でした。受付で預けてくればよかったと後悔したものです。旧青山別邸の館内は撮影が禁止されていますが、以下の写真は、唯一撮影が許可されているもので、龍に見える赤松です。縁側など足元が非常に冷えるのですが、入館時に厚手の靴下を寒さ対策として渡してくれます。これがあっても終盤は冷え切ってしまいました。

 ゆっくりと鰊御殿を見て回ったことで、すでにレストランはオープンしています。まだ早い時間ということもあってか、自分がテーブルに付いたときは他にお客さんはいませんでした。窓際の景色がよく見える席を陣取り、コラボメニューをいただきながら、朝の活動で疲弊した下半身をいたわります。貴賓館で提供されているコラボメニューは4種あり、すべてをいただくにはボリュームがあったので「オニオングラタンスープ」と「マシュマロハイビスカスラテ」を頂きました。鰊御殿を回ったことで冷えた体に、スープの暖かさがしみる。濃いめのコンソメ風味のスープと柔らかくなったオニオンが食欲を誘い、熱いながらも短時間で平らげてしまっていました。次にマシュマロハイビスカスラテを頂いたのですが、オニオンスープの塩味のあとで、ラテの甘みが非常に際立ちましたね。オニオンスープとラテの無限ループができそうなほど、塩味と甘味の振り幅が大きいと感じます。疲れた体が糖分を求めているというのもあったのかもしれませんが、非常に美味しかったです。ハイビスカスの酸味もほんのりあり、くどい甘さというわけではなく、思いのほかスッキリとしていたというのも意外でしたね。

 

 コラボメニューに満足し、貴賓館をあとにしようとした直前に缶バッジを購入していないことに気づき、慌てて売店に向かいました。今回のスタンプラリーで追加となった缶バッジは4つだけだったので、完全に油断してました。無事に缶バッジを取得し、再度おたる水族館に向かいます。今回は時間があまりないので、水族館のスタンプを押すだけとなります。鰊御殿の見学に予想以上に時間を費やしてしまったのが原因でもありますが、泣く泣くエントランスまでで引き返すことになりました。ペンギンの散歩とか見たかったです。次回また来る時の楽しみとしておきましょう。

 小樽駅近くまでバスで戻ってきて、コラボメニューを提供している龍鳳さんに今度は向かいます。これまで2日続けて入店できていなかったので、今度こそはと意気込んで雪道を進み、そして3度目にしてようやく入店できました。妙に感動しましたね。まぁ書き入れ時のランチタイムにやっていないというのはさすがにないですね。すでにお客さんがそこそこ入っており、あんかけ焼きそばをつついている姿がちらほら見えます。噂のコラボメニューである真っ赤なあんかけ焼きそば食べている人はいなさそう。席につくやいなや、店員さんにコラボメニューについてお聞きし、そのまま1人前を注文します。注文してから気づいたんですが、隣の席で食べている人の前に置かれている、あんかけ焼きそばの皿がでかい。相撲の優勝杯としてみるような大盃ぐらいの大きさがありませんか?お店の壁に貼ってあるメニューを見てみると、その中に「1人前2玉」という文字を見つけ、ぎょっとしたものです。ここまでかなり歩いてはいるものの、朝食から3時間ほどしか経っておらず、さらに貴賓館でコラボメニューもいただいている。食べきれるかという不安が溢れるなかで目の前に出されました、コラボメニューの「六花専用焼きそば」。見た目のインパクトに後退りしてしまいそうでした。赤い。そしてやはり多い。辛くはないと伺っていたので、その点について心配はしていないものの、どういった味なのかを見た目からは全く想像できませんでした。中心にのっているのは水気を切ったヨーグルトらしく、これを混ぜるとピンク色になります。ただこのときはヨーグルトの量が少なかったようで、色の変化はさほど大きくはなかったです。意を決して食べてみると、程よい酸味が混じったあんかけ焼きそばの風味なんですよね。見た目と味のギャップに脳が混乱するという良い事例だと思います。酸味のもとはトマトやビーツといった、あんかけ焼きそばの具としてはあまりみかけないものによって生まれているようですね。油っぽいだけならしんどいかなとも思ったんですが、酸味があるから2玉ぐらいいけそうだ!そう思い食べ始めて6割ほど進んだところできつくなってきました。麺よりも具のほうがけっこう多いんですよね。ボリュームの大半を占めるのは麺ではなく、野菜を含んだ餡の方でした。麺はむしろズルズルと食べ進められ、早々になくなったのですが、配分を完全に間違えましたね。それでもなんとか時間をかけ、完食することはできました。お客さんが多くなる時間帯なんですが、すぐに動けず申し訳ない気持ちになってました。

 龍鳳のコラボメニューを頂いたことで、スタンプラリーに関連する場所はすべて回りきりました。あとは電車に乗るだけではあるのですが、ここまでバスを待つといった時間がほとんど発生しなかったこともあり、思っていた以上にスムーズに回れて、1時間ほど余らせてしまいました。おたる水族館をみておけばよかったなという後悔を頭の片隅で感じつつ「時間があったら寄る場所リスト」を眺めます。龍鳳の焼きそばによってお腹の余白はありませんが、コーヒーを飲むぐらいなら大丈夫だろうと、小樽駅と運河プラザの間辺りにある「Coffee House CHAFF」にお邪魔しました。

 コーヒーを飲みながら、ゆっくりと本を読む。そんなゆったりとした時間が流れる空間が店内に広がります。本棚においてあるコーヒーに関連する書籍の数々も個人的には興味深かったですね。今後読む書籍の候補として、書籍の一覧を写真におさめたりしていました。注文したのはオリジナルブレンドの「CHAFFブレンド」。メニューにどの国の豆がどの程度入っているのかといった配分まで書いてあります。ブラジル50%コロンビア25%エチオピア25%、非常に親切。厨房が見えるカウンター席に座っていたので、店主がドリップする姿も見え、どんなふうに淹れるのかなと無意識にまじまじと見てしまっていました。出されたコーヒーの香りは非常に芳醇で、エチオピアの豆が25%と比較的少なめではあるんですが、もっと含まれているのではないかと思うような香り具合でした。味においては酸味が少し感じるぐらいなので、もしかしたら香りのもとはブラジルの豆が握っているのかもしれません。スッキリとした飲み心地でありながら、コクも程よくあるというバランスの取れた風味だと思います。そして同時に感じたのが、目の前にある自家製のデザートを食べてみたいという欲求。しかし胃袋に余裕がない。別腹もできないほど。デザートと合わせて飲むと絶対美味しいよこのコーヒー、と思いながら必死に我慢していました。電子書籍に逃げるようにデザートから意識をそらしつつ、電車の時間が来るまでしばらくゆっくりと過ごし、お店を出るときにいただいたブレンドの豆を100g購入した。家に帰ってゆっくり淹れつつ、これを動画で紹介しようと考えてましたね。出先でお気に入りのコーヒーショップを見つけて豆を購入する、旅行の個人的な楽しみだったりするのです。

 小樽駅に徒歩で向かい、改札をくぐって電車に乗り、長い長い帰路につきます。発車するまでの時間で小樽での3日間を振り返ってましたが、たくさん動きましたね。1回目のスタンプラリーでは自転車で広範囲を移動しましたが、今回は徒歩による移動も多く、スノーボードで滑ったりもしたことで、下半身の負担が大きいです。歩数計とかを確認してみると、1日15000歩以上歩いてました。雪道の中というのを考えると、普通の歩行以上のエネルギーを消費していることでしょう。数回派手にころんだことで、肋骨のヒビが悪化していないかだけが心配でなりません。

  新千歳空港までの電車で「この車両は指定席ですか?」と韓国の方から英語で質問を受けこたえたり、東京までの飛行機が1時間以上遅れていて、おたる水族館を回ればよかったとさらに後悔したり、鰊御殿を回るときに渡された厚手の靴下をずっと履いていて空港で気づいたり、東京から家までの電車でアジア系の20代ぐらいの男性陣に「この電車は浅草まで行きますか?」と英語で聞かれ、さらにブルガリアの人に「押上に止まりますか?」と聞かれたり、帰る間もやけに外国人に質問されるという体験をして、海外からの観光客が増えているんだなと実感したりしました。同時に自分の英語の拙さも明るみになり悔しくなってます。時間見つけて英語も復習しないとな。

 なんとか日をまたぐ前に家につくことができ、椅子に座ると疲労感とともに終わってしまったという喪失感が体を沈めていきます。動けない。これもまぁ楽しかったことの反動でしょう。冬の小樽というのは、北国の厳しさというのを垣間見ることができますね。寒さもそうですが、日常的な行動の制限に対していかに思い通りの行程を踏めるか、というのを試された気がします。そんな中で今回は、様々な幸運に恵まれたと感じています。1日目は鉄道が動かないトラブルもありましたがバスが動いていて小樽に到着でき、2日目のゲレンデでは滑る直前にボードが届けられたり、その他いろいろな方の優しさのお陰で、本当に楽しい3日間でした。第3回小樽スタンプラリーの旅、これにて終幕です。今回の旅の記録も今後動画にしようと思います。そしてまたスタンプラリーが開催された暁には、また小樽に舞い戻りたいものですね。

小樽スタンプラリー3に参加したよ(2日目)

 7時頃に起床して窓から外を見てみると、雪は変わらず一面を覆っているものの、日差しが見える。寒波の影響による悪天候を心配してたんですが、不安要素がなくなって助かります。特にこの日は、小樽天狗山スキー場でスノーボードも予定しており、展望台からの景色なども楽しみにしておりました。しかし寒い。気温を確認するとマイナス9度。この気温をみると、楽しみがあっても外に出るのをためらってしまいます。

 まずは朝食として、今回のスタンプラリーから追加されたスポット「北のどんぶり屋滝波食堂」に訪れました。好きな海鮮ネタを選んで乗っけられる海鮮丼が有名で、お昼どきだと並んでしまうといろいろなところで書かれていたので、行くなら朝と決めていました。また、朝の8時からやっていることもあり、1日をフル活用したい自分にとっては非常に助かる店舗なんですよね。朝食をどこでとるかというのは、旅行のたびによく悩んでます。

 自分が選んだのはカニ、いくら、そして季節のネタであるサーモンのねぎとろ。丼から溢れそうなネタが贅沢感を漂わせます。サービスとして昆布巻きもいただきました。いずれもめちゃくちゃ美味しいのですが、なぜかはっきりと覚えているのが「味噌汁おいしい」という記憶なんですよね。お魚の出汁が非常に濃くでており、それだけでも満足感に満たされます。海鮮を取り扱うお店の汁物というのはやはりひと味もふた味も違うものなんですかね。

 お腹を満たし、今日のスタンプラリーを開始します。今日はバス移動を基本とした、広範囲の移動を予定しています。そのためバスの1日乗車券を購入するため、小樽駅前バスターミナルの受付に行ったんですが、受付が空いているはずの時間にあいていない。まぁバスの運転手に話せば場所を選ばず購入できるので、乗り込んだバスで最初に乗車券購入をしました。4回乗ればもとが取れるのでスタンプラリー参加者はだいたい購入してるんじゃないかなと思います。この1日乗車券の仕組みは初めて見るものだったので、最初に見たときは驚きましたね。使う日にちに合わせて削るというもので、バスの中でせっせと2023/1/27を削っていました。ちなみにこの日は自分の誕生日でした。小樽で過ごせるとは、いい誕生日になりそうです。

 バスに揺られて訪れたのは、季節の色を全面にその景色に反映させ、素晴らしい景観を楽しめる、小樽総鎮守住吉神社です。この日は一面雪化粧した景色が拝めましたね。朝イチということもあり、新雪には足跡もほぼなく、ふかふかの雪を踏みしめながら本殿まで進みます。そしてフォトスポットでもある、本殿前から入り口に振り返って、鳥居からさらに奥に伸びる道路、そして海まで一望できるこの景色。これが見たかった。やはりこの景色は、人が少ない時間帯におがみたいものですね。まぁ早く来すぎてしまい、スタンプが置いてある社務所が開くまでしばらく外で待つことになったんですけどね。

 社務所が開いてからスタンプを押していると、巫覡(でいいのかな?)の方が「すみません、トイレの水が凍ってしまって」といいながらバタバタと通路を渡っていかれた。鍛え抜かれた北の国の設備でも、やはりこういった水道のトラブルはあるんですね。バタバタと忙しくしているところに、おみくじの購入とかお願いしてしまってすみません。小吉でした。今年はぼちぼち頑張ります。

 目的を果たして一度小樽駅までバスで戻ります。次の目的地はスタンプラリー最難関とも言える小樽商科大学。ただちょっと大学までのバスがすぐにでないので、駅構内のカフェ「可否茶店」で一休み。小樽で気になっているカフェがいくつかあり、時間があったら回るリストというのを作ってました。そのうちのひとつで、チェーン店ではあるんですが、日本で最初の喫茶店という歴史あるお店の小樽の店舗で、雰囲気を知っておきたかったんですよね。深煎りのスモーキーさを持ちつつも、すっきりとした後味で、ブラックでも飲みやすいコーヒーでしたね。

  コーヒーを飲み干して小樽商科大学行きのバス停に向かうと、すでに学生の列ができていました。午前中の登校時、地獄坂の先にある大学にバス以外の手段で向かう人などほぼいないでしょう。早めに並ばないとバスに乗れないかもしれないということは、考えれば容易に想像できますね。私は考えてなかったので乗れるかどうか不安になりながら並んでました。なんとか1本目のバスで乗り込むことができ、雪に覆われた地獄坂を登るバスに揺られ、小樽商科大学に向かいます。バスの座席で寝ていたり、友人と話したりする学生たちの中に異質な自分がいるということに、なんともいえない不安を感じたりしたものです。怪しまれたりしていないだろうか。妙な居心地の悪さを感じながらも目的地に到着。地獄坂の標識がすっぽりと埋まるほどの雪が路肩につまれてます。

 以前来たときは、スタンプのおいてある大学生協の場所がわからず、学生に聞いたりしましたが、今回はまっすぐと目的の場所に向かうことができます。午前中ということもあってかそこそこ人がいて、この中でスタンプを押して写真を撮るということにかなり抵抗感はあったものの、ここまできてやらいでかと自分を言い聞かせてスタンプを押し、写真を撮りました。スタンプを押せるのは平日の10時から14時半という限られた時間帯しかないこともあり、スタンプラリーの中でも最難関と言われていますが、メンタルが問われるという意味でもこの場所はなかなか試されるポイントだなと実感したものです。

 再度小樽駅に向かうバスにも比較的すぐ乗ることができ、スムーズに小樽商科大学をあとにします。そして本日のメインとなる、小樽天狗山スキー場に向かうのですが、不安要素をずっと抱えており気が気じゃないといった心境でした。というのも、小樽天狗山スキー場でスノーボードを楽しむつもりでいるのに、スノーボードの宅配がまだ到着していない。実は昨日、寒波による悪天候によってまだ北海道にはいれていないという連絡を受けており、いちおう滑るのは午後からだから午前中についてくれれば、といったお願いをしていたんですよね。今日は27日で、ボード自体は24日に宅配を依頼しており、26日に自分が無事に小樽に来れているので、荷物も問題ないだろうと思いこんでいました。10時半頃の段階ですでに小樽の営業所から出発しているといった状況を確認でき、ドライバーの方とも連絡が取れ12時半から13時の間で届けられるとお伝えいただいたので、全く滑れないといったことはなさそうということがわかり安心したりしたものです。

 小樽駅前からバスに乗り込み、小樽天狗山スキー場に到着。天候も非常によく、展望台からの眺望も期待できます。しかし到着したのは11時頃で、まだボードは手元にありません。そこで、近くにあるモリノカフェという喫茶店にお邪魔することにしました。

 開店直後ということもあり、モリノカフェにいる客は自分のみ。日本海に続く石狩湾を臨む景色を楽しめる席に座らせてもらい、自家製ケーキとコーヒーのセットをいただきます。非常に美味しいコーヒーで、ケーキとの相性もよく、お会計のときに少しコーヒー豆について伺いました。ニカラグアの豆で自家焙煎されているとのことなんですが、その焙煎方法がオーブンでやられているというのは驚きましたね。専用のオーブンとかではなく、ケーキを焼くのにも使用している一般のオーブンで焙煎しているとおっしゃられてました。煙がすごいからお客さんがいるときにはできないのと、一度にたくさんできないのが大変というのが難点なようです。オーブンでの焙煎について、今度もう少し調べてみようと思います。

 モリノカフェの店員さんにお礼を言ってあとにし、ゲレンデに向かうとちょうどクロネコヤマトのトラックが停まって、自分のスノーボードを抱えたお兄さんがゲレンデのチケット売り場に運び入れる姿が見えました。この時間にここまで運んで来てくれたことに感謝しかありません。本当にありがとう。

 着替えを済ませてチケットを購入しようとしたとき、上の施設で提供されるコラボメニューも目当てだったので、4時間のリフト券と1000円分の食事券がセットになったものを購入しようとしたんですが「水道のトラブルでコラボメニューが提供できない」と言われました。コラボメニューと、合わせてもらえるコースターが目当てだっただけに、この知らせは悲しかったですね。まぁコースターは他のコラボメニューでもらえるからいいかと割り切り、ひとまず4時間のリフト券を購入してロープウェイに乗りこみます。小樽天狗山スキー場ですべった話はちょっと別の記事に書くとして、展望台からの眺めは、天気も良かったこともあり最高でしたね。

 少し滑ってから休憩がてら、小樽で一番空に近いカフェといわれるTENGUU CAFEでメニューを見てみると、コラボメニューに対して特に「出せない」といった表記がない。もしかしてと思い注文してみると、なにも言われず注文が通った。どうやら滑っている間に復旧したようですね。これはラッキーとコラボメニューの2つを注文し、 TENGUU CAFEでしばらくまったり。最初にブルーベリーティーで体を温めます。ブルーベリーの酸味がつかれた身体に非常に効く。天狗山の夕映えソーダもすっきり飲みやすい酸味が美味しかったです。

 リフト券の時間いっぱい滑り、17時過ぎに写真を展望台から撮ったんですが、まだ少し明るさがあり、北海道3大夜景のひとつをしっかりとした暗さの中で納めることができなかったのが少し残念でしたね。もう少し早めに日が落ちきると思ったんですが予想外でした。このあたりから夜景目当ての観光客があがってきて、TENGUU CAFE は賑わいを見せます。ボードを持ってロープウェイを降りる自分がかなり浮いていたことでしょう。着替えを済ませて、ボードを再度預け宅配の依頼をし、帰りのバスを待ちます。この帰りのバスなんですが、夜景目当ての観光客と重なり、バスの時間があまり時間通りに発着しない状態で、いつ来るのかわからないバスをひたすら寒空の下で待つという状況になったのはつらかったですね。20分ほど冷たい風にさらされていたと思います。バスが来たときの感動はひとしおでした。

 小樽駅に向かうバスの中、観光客の多くは海外の人のようで、日本語以外の言語による会話がボソボソと聞こえます。もう少しで小樽駅前に着くかなというときに、ひとつ前の席に座っている女性が、霜ができた窓になにか日本語を書いているのに気づきました。携帯を見ながら、翻訳しながら書いている。「小樽に行く」といった文面をかいたところで、こちらをちらっと見る視線を感じたので、こちらから話しかけてみました。最初は日本語で話しかけてみましたが、日本語はわからないとのことだったので、拙い英語でなんとか相手のお困りごとを引き出すと、このバスが小樽駅に行くかどうかというのを知りたい様子でした。なので、このバスは小樽駅前に行くよというのを伝え、自分も同じ目的地だったので一緒にバスを降り、札幌に行きたいと次に言われたので、チケットの買い方と、どの番号の乗り場の電車に乗ればいいか、というのをなんとか伝え、改札をくぐるのを見送りました。観光客が多いなというのは昨日から感じていましたが、まさか自分が案内することになるとは思いませんでしたね。もっと英語ができていればスムーズだっただろうなと小さな後悔もしつつ、夕飯を食べに龍鳳に向かいます。向かったのですが、今日は19時前ですでに閉店しておりました。龍鳳チャレンジ本日も失敗で明日にかけるしかありません。

 閉店の龍鳳に背中を向けて、別のところで夕飯をと歩き始めるのですが、龍鳳以外の候補を考えていなかった。そのため、道中で良さそうなお店があれば入ろう、というなんとも行き合ったりばったりな妙案に頼ることにしたのです。場合によっては、小樽ビール小樽倉庫No.1にもう一度いってもいいか、ぐらいのことを考えていたと思います。しかし少し歩いたところで見つけたひとつのお店に目が止まりました。「丼 あて 酒 えだかん」

 海鮮丼の写真が胃袋を刺激します。朝食に滝波食堂で3種の海鮮丼を食べましたが、スノーボードと雪道を歩くのに疲弊した身体はすぐにでもなにか食わせろと内側から訴えかけているようでした。日本酒というのも気になったので、がらがらとお店の扉を開けて足を踏み入れました。すでにお客さんが数名おり、テーブル席に2組、カウンター席に1組。自分は扉近くのカウンター席に案内され、注文はQRコードで飛んだサイトからできると伝えられました。チェーン店というわけでもなさそうなお店ですが、こういった注文の仕組みを取り入れているのはこのあたりでは珍しいんじゃないかなと感心していた。お店に入る前から気になっていた海鮮丼と、日本酒ガチャというなんとも面白そうなものがあったのでこれを選び注文。最初にお通しとしてでてきたのは肉じゃがで、これひとつでメニューの一つになるんじゃないの?と思えるような1品が出てきたことに驚きました。日本酒ガチャでは「合名会社鈴木酒造店 秀よし」という秋田の日本酒を引き、肉じゃがと日本酒だけでも立派な食事になるなと満足気に箸を進めます。スッキリとした風味の秀よしは、肉じゃがの味を隠すようなこともなくお互いの旨味がちょうど混ざるような、何にでも合わせれると思わせる風味だったのが印象的です。疲れているのでお酒が回りそうだなと思ったので、一緒にお冷も頼みました。そして待ちに待った海鮮丼。キラキラと光っているのかと思えるような鮮やかな彩り、非常に綺麗です。食べるのがもったいないなと写真を撮ったときは思いましたが、食欲が先行しましたね。ガツガツとレンゲをつかってかきこんでました。一緒に出されたお味噌汁も、滝波食堂と同様に、海鮮のお出汁が聞いてて美味でしたね。あっという間に平らげてしまいました。

 再度寒空のもと、グリッズプレミアムホテル小樽にチェックインのために向かいます。朝にバス停に行くまでの間、荷物を預けるために立ち寄ってはいたのですが、朝早すぎたのでチェックインはまだしていません。20時をすでに超えていたので、電話がかかってくるんじゃないかと携帯の振動を警戒していましたが、特に電話がなることもなくグリッズプレミアムホテル小樽に到着。チェックインして内装とかをみると、なんとも既視感がある。パンフレットが置かれているところにトリフィート小樽運河の案内もあり、そこでようやくトリフィート小樽運河と同じ系列のホテルなのかと気づきました。このことをツイートすると、トリフィート小樽運河の公式Twitterアカウントからも反応が。

 こちらの浴場には露天風呂もあり、お風呂の時間を長めにとり、夜風に涼みつつ浴場を堪能しました。スノーボードのあとにトリフィート小樽運河やグリッズプレミアムホテル小樽の浴場施設があるところに泊まれるというのは、疲労を癒すことを考えると非常に頼りになるといいますか、アクティビティのあとの楽しみがあるというのが嬉しいですね。

この日集めたスタンプとしては、滝波食堂、住吉神社、小樽商科大学、小樽天狗山ロープウェイと、数としては少ないものの、スノーボードを楽しんだり景色を堪能したり、海鮮を楽しんだりと、昨日と同様に朝から夜まで充実した1日を過ごすことができました。1日天気に恵まれたことが大きいですね。しかしながら下半身の疲労感が非常に大きく、翌日の活動に支障が出ないかだけが気がかりです。

小樽スタンプラリー3に参加したよ(1日目)

北海道にたどり着けないかもしれない

 出発前日、全国的に寒波が猛威をふるい、飛行機の欠航や鉄道の運休のお知らせがどのニュースでも流れていた。さすがに今回は無理かもなと絶望していたが、予約していたJetStarからはなんの連絡もない。飛行機が飛ばないとなればたどり着く手段はないので、おとなしくホテルの予約などキャンセルする判断ができるのだが、ニュースの賑わいに反してJetStar側は沈黙を貫く。もはや出たとこ勝負と覚悟を決め無理やり寝るしかなかった。

 そして早朝。JetStarから欠航の連絡はない、本当に飛ぶのか?と疑問をいだきながも家を出ます。始発の電車にのって空港に向かうのだが、めちゃくちゃ寒い。すでに北海道にいたのかと思わせるような、鋭利な寒さが、厚着した装備を簡単に突破してきます。北海道にたどり着くまでは、暑いかもしれないなと心配した装備だったんですが「関東でこれなら北海道でどうなるんだ」と不安が募るばかりです。寒波こわい。

 成田空港の駅につき、第3ターミナルに向かうのですが、この第3ターミナルまでの道のりが非常に長い。1キロは歩いたんじゃないですかね。行動の開始が朝早く、小樽まで順調に行ったとしてもお昼は超えるので、早めに空港についておいて空港で朝食をとる予定にしておいてよかった。空港までの道のりでかなり熱を奪われてしまったので、朝食にちゃんぽんを食べ、凍死は免れました。

 飛行機は結局問題なく飛んでくれるらしい。北の大地に問題なくたどり着けるようでまずは最初の関門突破です。寒波が来ているとは言うものの、雲自体はそこまで広がっておらず、飛んだときに富士山もきれいに見えました。

 北海道に近づくにつれ、雲が増えてきます。そして地面が近づくに連れ、当然ではありますが、雲の白から雪の白に変わっていきます。これだけ雪がありながら、早朝から飛行機が飛べる状態になっているということに驚きました。

 

 北海道にたどり着いたのはいいのですが、問題はここからだったりします。鉄道が昨日から運休やら本数を減らしているなど、現地にいかなければ状況が見えないという思いだったんですが、現地に来てもよくわからなかったです。とりあえず札幌までは動くらしい電車がすぐ出るからそれに飛び乗り、札幌から小樽までは、次の電車が雪かきの状況次第でいけるかも、と言われたので札幌に向かう電車の中でJRのサイトやらTwitterからできるだけリアルタイムな情報を追い続けます。そして札幌に着く直前あたりで、札幌小樽間の運転見合わせ時間延長の知らせを受けました。電車は無理とわかったのでバスによる移動について調べると、小樽方面の高速バスが動いているとのこと。早速バスターミナルにいってみましたが、同じように考える観光客が多いようで、小樽方面のバス停にだけ行列ができていました。しかも小樽駅に向かうバスがちょうどでたところ。連なるようにバスがきたが、小樽方面ではあるものの、小樽駅から少し離れた「小樽築港」までしかたどり着けないバス。次に小樽駅まで走るバスがいつ来るかわからない上に、今並んでいる人たちを抱えられるのかわからない。小樽市内のバスに乗り換えられるらしいという頼りない情報を信じ、まずは「小樽築港」行きのバスに乗り込みます。

 バスが小樽に近づくにしたがって、積もっている雪の高さが高くなり、道路に残る雪の量も増えてきます。1時間ほどバスに揺られて小樽築港に到着。同じバス停で市バスが来るのを待ちます。新雪に覆われたバス停付近の歩道で、ちらつく雪の中で数分立っているだけでも寒さがこたえます。風がさほどないにも関わらず、肌が出ている部分から熱が抜けていくのがわかる。すぐに小樽駅方面に向かう市バスが来てくれたので助かりました。最初の目的地である運河プラザに近い「中央通」で降りました。雪の高さがやばい。2mぐらいあるように見えます。

 花梨先輩の公式絵のモデルとなっている手宮線もこの通り。人が通れる場所には見えない状況です。以前訪れたときは、博物館からこの手宮線散策路を通ったんですよね。懐かしい。

 そしてスタンプラリーのスタート地点、小樽運河プラザに到着です。ここまでこれるかというのが不安で仕方がなかったので、到着したときに安心すると同時にどっと疲れが襲いかかってきました。スタートする前こらこれで大丈夫かと、新たな不安が芽吹き始めてる。

1日目のスタンプラリーの予定は「徒歩で行ける範囲を回る」というものです。スタンプラリーの範囲は広大で、1日で回り切るには朝から回らなければ時間が足りない。小樽に来るまでに予定よりも1時間ほど遅れていることもあり、とりあえず近場を回るといっても時間に余裕はない状態でした。スタンプの設置時間が短いものを優先して、まずは16時台にスタンプがしまわれてしまう、都通り商店街と市立小樽文学館に、六花ちゃんの市内アナウンスを聞きながら向かう。都通商店街では、小樽組と商店街がコラボしたパンフレットを配っているので、そちらも合わせて回収してきた。

 続いて、今回追加のスタンプ対象となった、グリッズプレミアムホテル小樽へ。こちらの受付自体は遅くまで開いているものの、スタンプを置いているのは17時までと時間に限りがあるので、早めに寄っておく。2日目の夜に宿泊予定でもある場所だ。真新しい施設で、非常にきれいな内装が印象的。

この次に向かうのは、小樽堺町通り商店街の方面になります。この段階ですでに16時になろうかという時間で、移動のトラブルなどもありお昼を食べそこねておりました。そこで、商店街までの道中で小樽のグルメやスタンプラリーとコラボしたメニューを販売しているお店に寄り、食べ歩いていきました。まずは「ぱんじゅうの桑田屋」でぱんじゅうをいただきます。いろいろと味がある中で選んだのは、黒い見た目が特徴的な「石炭ぱんじゅう」、りんごの果肉がごろっと入った11月から2月限定の「ごろごろアップル」、本店限定の「抹茶あん」。外側のすこしカリッとした食感のあとに広がる餡の甘みがとても心地よい。特に抹茶は甘みだけでなくほぼど良い苦味もあり、甘さをよりいっそう引き立たせるように感じます。

 少しばかり空腹を満たし、あらためて堺町通り商店街に向かいます。この道中がかなり大変でした。観光客や修学旅行をしている学生で人が多く、雪道は何度も人が通ったことで押し固められ、氷の上を歩いているよう。足をすべらせるということはしょっちゅうあり、1度派手に転倒しました。寒さに加え、転倒による恥ずかしさや軽く雪面に打ち付けた腕の痛みなどに耐えながら、堺町通り商店街にある「タケダのザンギ」というお店に到着します。ここでは、スタンプラリーとコラボしたメニューである「緑のザンギ」をいただきました。大粒の鶏の唐揚げなんですが、衣には緑色の粉末が混ぜられています。渡されるときに店員さんから「緑のはブロッコリーと抹茶です」と言われて思わず笑ってしまいました。たぶん青のりだと思うんですが、ブロッコリーだと言われるとそう感じるような気も。非常にジューシーで、思っていた以上にボリュームがあり、食べきるのに時間がかかりました。食べながら歩くのはさすがに危なかったので、出店の横で美味しく食べるサクラのように黙々と食べていたんですが、お店の方から「後ろに飲食スペースありますよ」と案内していただき、温かいところで落ち着いて食べることができました。

 ザンギを食ったら時間を食われた。堺町通り商店街にあるスタンプは2箇所で、片方は17時に閉まってしまうため急がねばなりません。しかし足元は滑りやすく思うように速度をあげられない。それでもなんとかお店が締まる前に立ち寄ることができたのは、「福廊」という雑貨屋さん。スタンプを押してすぐ近くのもう一つの目的地である「堺町通り観光案内所」にも入り、こちらでもスタンプを押します。徒歩で行くには比較的距離のあるこの2箇所が1日目の難所とも考えていたので、閉店前に回ることができたのは幸運でした。

 徒歩圏内としては難所のスタンプも確保できたので、運河プラザ方面に再度徒歩で戻ります。その道すがら、1度派手に転倒しつつ、かま栄工場直売店にて「パンロール」をいただきます。スナック感覚でかまぼこを食べるというコンセプトのもと生まれたとのことですが、スナックとは思えないほどの食べごたえがあるように感じます。見た目はさほど大きくないですが、油がすごい。かまぼことは思えない濃厚な海鮮の風味が口いっぱいに広がります。朝食やお弁当代わりに買っていくのもありですね。

 かま栄で少し休憩を挟み、あたりも暗くなってきた頃、小樽運河沿いを歩いて進み、浅草橋観光案内所でスタンプを押します。小樽運河の撮影スポットのようで、多くの人がライトアップされた小樽運河を撮影していました。堺通り商店街を歩いているときも感じましたが、第1回スタンプラリーのときと比べて、多くの観光客がいるという印象が強いです。お店の方などから「観光客が帰ってきた」と表現されていたので、これが本来の小樽の姿なのだろうと理解しました。趣のある静かな街並みというのもいいですが、好きな街が賑わっているというのは、今後も明るく賑わう良い兆とも思えるので、これはこれで嬉しくなる光景でもあります。

 この段階でスタンプが7つ集まっていたので、スタート地点でもある小樽運河プラザにもどり、7つ以上スタンプを集めた人に送られるクリアファイルを頂きます。そして、小樽運河プラザに飾られているイラストなどをゆっくりと見て回りました。動画のイラストでお世話になっている糖分魔王さんのイラストもあり、大きなサイズで拝むことができたのが嬉しかったですね。応援している絵師さんがこのように受賞されるというのは、応援する自分もなんだか嬉しくなってくるもので、現地で見たい!と小樽旅行へのモチベーションのひとつになってたりします。本当に素敵なイラストでした。

 夜の小樽の寒さに震えながら、この日お世話になる、トリフィート小樽運河へ。入り口では六花ちゃんと花梨先輩のパネルが並び、スタンプも2つ用意されています。加えて、コラボグッズの販売もやっており、毎度ながら協力体制に感心させられますね。今回増えたコラボグッズのマグカップと、新しい缶バッジもチェックインと合わせて購入。専用の宿泊プランでもらえるタオルも受け取り、この段階での戦利品を並べたりしてました。

 まだ1日目は終わりません。夕飯としてコラボメニューを提供している「龍鳳」さんに向かいます。少し距離はあったのですが、もはやテンションで疲労のことを忘れ、ようやくなれてきた雪道をのっしのっしと進みます。そして到着したのですが、お店が暗い。そして入り口には「定休日」の張り紙が。どっと疲労感がのしかかりました。

 それでもまぁ別の候補もあったので、すぐに切り替え雪道を進みます。堺通り商店街あたりで食したザンギやパンロールのお陰で、そこまで空腹は激しくなく、気持ちにも余裕がありましたね。そしてたどり着いたのは「小樽ビール 小樽倉庫No.1」。前回来たときは、臨時休業と重なってしまい、夕食時にくることができませんでした。なので今回はそのリベンジを果たしたかったのです。

あまりビールは普段から飲まないのですが、せっかくなのでドイツビールの「ピルスナー」を1杯いただきました。嫌な苦味はなく、スッキリとしたフルーティーな味わいが特徴的でしたね。こういう美味しいビールならある程度は飲めそうです。そして注文したのは「真鯛と白子のロールキャベツ」と「活タコのカルパッチョ」。こんなロールキャベツ食べたことない。魚の旨味じんわり。うまい。そして北では今が旬のタコを使ったカルパッチョ、薄いのに弾力しっかり、モキュモキュ噛んでるうちにわさびとオーロラソースを混ぜたような少し濃い目の味からタコの旨味が感じられるようになっててすごいおいしい。ビールを挟みつつ食べるの最高。薄めの味のビールなので、濃いめのカルパッチョと相性が最高でした。1品で2,3人前ぐらいあって、多分数人で来て分けて食べることを想定としているものだと思うので、2品で十分お腹いっぱいです。今度来たときはピザとかも食べてみたい。

 食事も済ませ、トリフィート小樽運河にもどり、大浴場を堪能し、1日の疲れを汚れとともにしっかりと落とします。以前来たときはホテルに戻るのが1時を超えたりして、大浴場を体験できなかったんですよね。これもリベンジ案件だったので、しっかり堪能できて満足です。入ったタイミングは他に人もおらず貸し切りのような状態で、悠々と楽しむことができました。1部屋が2, 3人入れるほど大きく、荷物を拡げたりのびのびと過ごせるのが良いですね。まぁ一人だからという理由もあるでしょうけれど。

 翌日も朝早くから活動予定なので、日をまたぐ前にはベッドに入りました。とにかくこの日は、小樽に着けたということ、当初想定していた徒歩圏内のスタンプやグルメなど、雪道に苦労しつつも周り切れたのがとにかく嬉しかったですね。寒波に日和らず旅の予定をキャンセルしなくてよかったと実感した1日目でした。