上越国際スキー場に行ったよ part3

 前回のブログの続きになります。

 あたりが暗くなりナイター営業が始まるのが先か、疲労や転倒によって継続不可となるのが先か、そんなチキンレースを19時頃まで続けました。ようやくあたりが暗くなり、空の明るさよりもライトによる光を頼りにしなければならない環境となったのです。そして自分はあと数回は滑れるだろうと、かろうじて体力を残すことに成功しました。しかしながら、変な滑り方をすればすぐに立てなくなる、股関節に違和感を抱きながらも震える下半身をなんとかボードに乗せているといった状態でした。

 

 夜のスキー場というのは、電灯から発せられる光と雪からの照り返しで、それこそ夜間のショーのような明るさになるかと思っていたのですが、思っていたほど明るさはなく、昼頃にはっきりと見えていた雪化粧をしていた遠くの山は、全体を黒い膜で覆われたようにシルエットを示すだけ。想像していたよりも闇の占める割合が多く、人によっては恐怖すら感じるかもしれません。そして滑った感覚ですが、ナイターを目当てで来ている人が他にも多くいたようで、時間のわりにはコース上に人がたくさんいたなという感覚です。雪質についてはこの時間になるまでさんざん滑っていたこともあり、あまり印象には残っていませんが、それなりに滑りやすい状態だったと思います。いきなりナイターの状態から滑ると、コースがわかりにくいといったこともあるのかもしれないのですが、無心で何度も滑っていたことで、滑りにくさというのは全く感じていません。むしろ、ようやく終りが見えたという妙な安堵した気持ちが支配していたように思います。

 ナイターで滑れるコースは長峰ゲレンデのなかの2つのコースで、最初に滑った方はさほど傾斜も急ではないのですが、もうひとつの方は最初に少し急な傾斜があり、そこで一気にスピードに乗って、平坦な部分を抜けた先、リフト前の傾斜を滑り切るといったコースです。スピードに慣れるため何度か滑っていたのですが、転倒せずに中盤まで滑りきったときはなかなか爽快な気持ちになれます。身体の疲れも吹っ飛ぶような気持ちになり、そのまま終盤で転倒していたたまれない気持ちになるところまでがワンセット。この日のラストランは転倒しないようにしたいという気持ちでいっぱいでした。

 この日の本懐を遂げて満身創痍で宿泊先に戻り、鍵を受け取ってあてがわれた部屋へ。疲れ切った身体で、ボードを専用の配置場所に移動させて鍵をかけ、ボード用のカバンに入れた大きい荷物と、ヘルメットや手袋などの小物や靴、カバンを抱えて部屋まで移動する道のりがかなり大変だった。両手が完全にふさがった状態でエレベーターや鍵の操作など、疲労を実感するタイミングが多かった。そして部屋も扉を開けて靴を脱ぐスペースがかなり狭く、荷物をスムーズに入れることが出来ない。ブーツを脱いでウェアを脱いで、夕飯の時間が迫っていたので簡易的な着替えを済まして会場に向かう。予定を立てたときはまずお風呂に行ってから夕飯のつもりではいたものの、日の入りが思いの外おそかったことで、夕飯の前にお風呂に入るタイミングを逃してしまった。

 夕飯はバイキングだったので3人分ぐらいたらふく食べた。1日中動いたこともで身体がエネルギーを無限に求めてた。お腹がいっぱいになったというよりは脂っこいものでしんどくなった感じ。ご飯と漬物のコーナーだけでも無限に食べられるような気がしたので突発的な食欲のヤバさを実感した。他のテーブルが家族連れなど団体が多いのに対して、自分は4人がけのテーブルに1人だけで少し寂しかった。ホテルグリーンプラザ上越は、宿泊場所とゲレンデの距離が近いこともあってか、家族連れや団体の宿泊客が多く、ゲレンデでもまとまって移動するような姿をよく見た。部屋も基本的には複数人用のものしかなく、独り身には親切ではない。しかし部屋の広さをみるとほぼシングルでは?と思うほどの広さしかないように感じる。部屋数が非常に多いが、そのぶん大浴場などの施設までの距離が長い。タオルを忘れて取りに帰るときの脱力感といったらもう。

 ホテルグリーンプラザ上越の宿泊プランで2日分のリフト券をもらい、すでにウェアの袖にあるポケットに入れている。このリフト券は上越国際スキー場だけを対象としたものではなく、岩原スキー場でも使用することができる。そのため、2日目は岩原スキー場へ行こうと考えていた。夕飯を終えて部屋に戻るまでの道すがら、フロントに赴いて岩原スキー場までの道のりについて確認する。家で調べたときはシャトルバスが出ていると見かけたので、明日の運行時間さえわかれば行けるはず。そしてホテルマンから返ってきた一言は

「岩原スキー場の運行は先週終了しました」

「えっ!?」( Д ) ゚ ゚

まぁまぁ、3月下旬のシーズンオフ間近ですからね。シャトルバスがないのも致し方なしといった感じかな。とりあえず岩原スキー場まで他に移動手段がないかをきいたところ、少々お待ちくださいと裏手に引っ込んでしばらくしてからホテルマンが再度登場。その手には時刻表を握っている。その時刻表をもとに説明をし始めようというホテルマンを、時刻表に違和感を抱いた自分の発言が制止する。

「この時刻表って土日、祝日用のものではないですか?」

翌日は月曜で平日なのだ。指摘されて始めて気づいたようで、ホテルマンが再度奥に引っ込む。平日用の時刻表を持ってくるだけだと思っていたがなにやら時間がかかっている様子。しばらく待って出てきたホテルマンの手には何も握られていない。まさか暗記してきたのか?とかかんがえていると思いがけない言葉が返ってきた。

「岩原スキー場は今シーズンの営業を本日をもって終了いたしました」

「・・・はっ!?」

言ってることを理解するのに時間を要した。同じ系列のゲレンデで、チケットも双方で使えるようなプランなので、片方だけが営業を終了するという事態を全く想定していなかった。念のためリフト券の払い戻しとかも相談してみたが、宿泊プランとしての変更が効かないとかで対応できないとのこと。近くのゲレンデは何があるかと伺ってはみたが、GALAぐらいしか名前は出て来ない。ホテルマンの口からは、把握しておらず申し訳ないという言葉を繰り返されるばかり。明日も上越国際スキー場を滑るというのもなくはないが、この日だけでそもそも10時間滑ってるのよね。この上さらに滑ってもなぁという気持ち。まぁそれでも、早朝から人の少ないタイミングで滑れる機会もないだろうと自分を言い聞かせ、明日も上越国際スキー場でお世話になりますとホテルマンに返して部屋に戻った。3月末頃のゲレンデは、営業しているかどうかを事前にちゃんと確認しよう。

 大量に腹に食べ物を放り込み、お風呂にも入り、部屋のベッドに座り込むとどっと疲れが眠気として襲いかかってきて、22時ぐらいには何もできない状態になっていた。渡されたフリーwifiのパスワードは何度やっても認証失敗となり、スマホをいじるのも億劫になる。とりあえず Kindle で「珈琲店タレーランの事件簿」を開いて、寝落ちするのを覚悟して読み始める。起きてから気づいたことではあるが、1ページも進まず寝落ちしてた。

 この日の滑走記録は、滞在時間10時間超えの、滑走距離32km、リフトには31回乗っていた。移動だけのリフト移動が多かったので、滑走距離に比べてリフトの回数は多いものとなっている。丸沼高原では2.6時間で約10km、万座温泉スキー場では5時間で約18kmという記録と比較すると、いつもの2日分ぐらいを1日で滑っていることになる。今度からナイターを滑るときは開始時間は遅めにしようと心に誓った。

 2日目も長くなりそうなのでまた区切る。こんなに内容が長くなる予定はなかったが、10時間滑ったりすればまぁそれなりに書くことは増えますね。

上越国際スキー場に行ったよ part2

 前回のブログの続きになります。上越国際スキー場に行って、お昼休憩をとったところからですね。

 フォレストゾーンにあるレストラン・ホルンにて、窓辺の席でポトフに舌鼓を打っていると、窓から見える雪の斜面を滑る人、転倒する人が徐々に増えていきました。宿泊先のホテルグリーンプラザ上越から遅れて出発した人たちや、自分が乗った新幹線よりも何本か遅い便で来た人たちが集まってきているようです。フォレストゾーンはなかなか滑りがいがあったのですが、山奥過ぎてすこし景色を楽しむにも木々しかないという状態だったので、早々にパラレルゾーンに戻ることにしました。パラレルゾーンとフォレストゾーンをつなぐリフトは、14時頃に止まってしまうという時間制限もあり、あまり遅くなると渋滞しそうだなという心配もありました。そしてゾーン間の移動は再度リフトに揺られる必要があり、腹ごしらえをした直後ということもあって少し眠くなってたりしました。

 花粉症の人にはつらいだろうなと感じる杉林の間を、リフトがゆっくりと進んでパラレルゾーンに戻ってきます。パラレルゾーンはまだ、フォレストゾーンに行くために通るコースしか滑っていないので、パラレルゾーンのコースを何度かすべってみることにしました。

 まずはパノラマ第3ゲレンデの尾根コース。滑り初めて右寄りに進んだ先のコースは、山々の尾根に沿ってコースが用意されており、コースの両サイドが崖のように急斜面になっており、そして前方も遠くまで遮るものがなく、パノラマという名前の通り広範囲に渡ってすばらしい景観を楽しむことが出来ます。この日は曇だったので比較的見通しは悪い方ではあるのですが、それでもこの景色はなかなか見応えがありました。雲の上を滑っていると表現しても良さそうな、そんな幻想的な景色でした。滑り降りるにつれて合流地点がいくつかあり、そのたびに人が増えていきます。しかしコース幅は狭いままなので、人を避けて滑らなければならない状況に苦労させられました。この景色を目当てに、初心者ぐらいの人もけっこうパラレルゾーンまでやってくるので、コースの中央で2, 3人のボーダーが横に並んで座っている、というのもざらにあります。座っているとたまに上から視認できなかったりするので、なかなか怖かったですね。

 今一度パラレルゾーンの上方までリフトで登り、次は同じスタート地点から少し滑り降りたところを左に入っていくコースを滑ってみました。最初滑り降りたときに、この左に入っていくルートに気づかず、先に滑り降りる人が左に消えていくのが見えたことで気づくことが出来ましたね。リフトで登っているときに、このコースはどこから入るんだ?と疑問に思っていました。何しろ入口となるルートがとても狭く、進んだ先で少し渋滞したような状態になってました。加えて、自分の直前を小学生ぐらいのお子さんが滑っており、接触しようものならどんなことを言われるかという恐怖心から、追い抜くタイミングをしばらくうかがっていました。最初は木々に両側を覆われた細いコースを下るのですが、カーブを抜けた先で突然視界がひらけ、コース幅も大きく広がります。直前の混雑が嘘のように悠々と滑ることができ、前方には遠くまで伸びる景色を楽しむことが出来ました。まっすぐと滑り降りていることもあってか、すぐに合流地点となり、道幅も狭くなって人も多くなる。パノラマゾーンは名前の通り景色が素晴らしいのですが、全体的にコース幅が狭いのが難点ですね。

 パノラマゾーンに人が集まってきたので、マザーズゾーンに戻ってきました。パノラマゾーンに向かうとき、天気は霧雨といった雲が多くかかっていた状態でしたが、パノラマゾーンからマザーズソーンに帰ってきたときには天気が回復しており、雲の隙間から青空が見え、日差しも差し込み遠くを見通せる状態でした。しかし雪面が雨によってシャーベットのようになっていたことと、人が多く思うようなコースどりやスピードですべれなかったことにより、滑りながら景色を楽しむ余裕はなかった。

 一度下まで滑り降りてから、最初に滑った長嶺ゲレンデで改めて滑ります。朝は見通しも悪かったのですが、時間が経過するごとに天気予報通り晴れてきて、非常に見通しが良くなりました。合わせて人も増えているんですが、そこそこ幅もあるコースではあるので、滑りやすいコースになっています。コースの終盤は少し急になっていますが、その先が平坦で広いスペースとなっているため、速度を出してもゆっくりとスピードを落とすことができる。

 上越国際スキー場の下から登るリフトは3種あり、2種は長嶺ゲレンデのコースを滑るポイントで降りるものになるんですが、もうひとつは美奈ゲレンデまで続く高速リフト。午前中はこのリフトで降りた場所からパノラマゾーンに続くリフトに乗ったのですが、今回は美奈ゲレンデを滑ってみます。長峰ゲレンデよりも高い位置になるので、景色はより雄大になるのですが、この中級者コースは他の中級者コースと比べると傾斜が急で、さらにほぼ緩むタイミングがありません。そのため、速度コントロールができないと、自身の制御できない速度がでてしまい、バランスを崩せば派手に転倒してしまうことが予想されます。何度か滑ってはみたんですが、めちゃくちゃ転倒しましたね。怪我こそなかったものの、自分にとっては1つの難所となっていました。人がいないのでこのコースを悠々と滑れれば、繰り返しここを滑ろうかとも思ったんですけどね。スピードに慣れるため数回やってみはしたんですが、疲労による転倒が怖くて、3回ほどで他のコースに行ってしまいましたね。

 さて、上越国際スキー場での目的の一つとして、ナイター営業もしているのでどんな感じなのかを体験してみたい、というものがありました。そのために宿泊のプランにし、リフト券も2日分のものを用意しています。フォレストゾーンまでいって、パノラマゾーンを滑って、マザーズソーンに帰ってくる。一通りコースを滑ったところで時間は15時。ナイターを18時とすると、まだ3時間もの時間がありました。いったん休憩を挟んで15時半くらいから、マザーズソーンのコースをひたすら周回するというのをしていた。フォレストゾーンやパノラマゾーンで再度滑るというのは、リフトの営業時間の都合上できませんでした。ゾーン間を移動するリフトは、フォレストゾーンに入るところは14時頃、パノラマゾーンに入るところは15時半頃に停止してしまうのです。そのため、この段階で滑れる場所がマザーズソーンしかなく、さらに17時頃になると、美奈ゲレンデに続く高速リフトも営業を停止してしまい、滑れる場所は長嶺ゲレンデのコースのみとなりました。同じコースをぐるぐると周回していると、トレーニングをしているような感覚になります。ちなみに17時頃のお空の状態は画像のように、まだまだ日が沈む気配がありません。そしてこの段階で股関節に若干の違和感を感じ始め、ナイターまで身体がもつのかという心配も湧いてきました。

またまた長くなったのでさらに分けます。

『小春六花の雪山冒険記 Part3【万座温泉スキー場】』を投稿したよ

 3本目の雪山冒険記、できました。万座温泉スキー場に行ったときのものです。ゲレンデのコンディションも比較的よく、天気も申し分ないという録画だったので、そこそこきれいな景色を動画で用いることができ、自分はわりと満足しています。内容の面白さはまぁ見る人それぞれのご感想におまかせしますといった感じ、自分ではあまり良くわからないので。万座温泉スキー場に行ったときの記録については、過去のブログをご参照ください。

 動画内でもご紹介させていただいておりますが、友人より支援絵をいただきました。しかも2枚。最初お伝えいただいたときは本当にびっくりしましたね。変な声が出ていた気がします。1枚目はボードに左手をかけ、遠くを見据えるような立花ちゃんです。ゲレンデについてさぁこれから滑るぞ!と気持ちが現れているような、凛々しい表情をしています。唇の色合いがすこし大人びていていいですね。ゴーグルのレンズの色合いとか、どのように書かれているのか自分はわからないのですが、レンズ独特の質感が伝わるようでとても好き。2枚目は1枚目よりも可愛らしさがありますね。こんな可愛い子にウィンクされたら一瞬で虜になってしまいそうです。ゲレンデマジックというのを体現しているよう。そして動画内でも触れておりますが、制服のカラーリングに合わせたウェアのデザインがとても素敵。1枚目は少しウェアがゆとりのあるような大きめのサイズに見えますが、2枚目は腰回りで少しくびれたような、スリムなデザインになっていますね。こちらもすこしお姉さんのような、大人の魅力を感じさせる素晴らしいイラストです。イラストを描いてくださり本当にありがとうございます。

 今回の動画では、コースを示すマップの表示のしかたを少し変更してみました。前回までは、マップ上の対象のコースのところを拡大表示するような表現でしたが、他の方の動画を参考に、マップ状を滑るコースに沿って、矢印が移動するような表現にしています。カスタムオブジェクトですでに用意されているものを用いるだけだったので、難しい編集をする必要がなかったのは助かりました。先人の知恵は偉大です。

 今シーズンすでに滑り納めたあとだから思うことなのかもしれませんが、今ならもっとスピード出して滑れたなぁとか、もっときれいに撮れたんじゃないかなぁとか、万座温泉スキー場を滑ってから1ヶ月たたないぐらいではありますが、未熟さが目についてしまいますね。来シーズンはみんなについていけるようにしたいものです。

 次回は2月中に録画したものを動画にするつもりでいます。今シーズンの録画したもので、あと何本作れるかまだはっきりしないですが、2本は作れるものと思っています。やはり最初の方に滑ったものは、試験的な部分が強く、とても動画化できないんですよね。まぁハンドドリップ動画以外にも動画作成を進めていたりするので、一旦区切ってしまうというのは時間的な意味でも、自分にとってはさほど悪いことではないのです。楽しんで作れる範囲で、ほそぼそとやっていこうと思います。

 それでは今回はこのへんで。少しでも動画を楽しんでいただけますと幸いです。

上越国際スキー場に行ったよ part1

 前日の友人との奮闘による興奮をなんとか抑え眠りにつき、朝4時頃におきて始発に飛び込む。週末に体内時計を木っ端微塵にするのが習慣化しているような気もするがきっと気のせいだと自分を納得させる。天気による運行状況の乱れを心配していたが、都内の早朝の天気は荒れることなく、日頃の行いの正しさが証明されているようである。時間通りの新幹線に乗り、Kindleで「珈琲店タレーランの事件簿」を読みながら目的地に向かう。小説を読んでると眠気や体感時間が吹き飛ぶので早朝の移動はこれに限る。終盤だった1巻を読み終え2巻を読み始めたところで目的地近くまで来た。

 近くに来てから、上越国際スキー場までの細かいアクセスについて改めて確認する。予定では越後湯沢で上越線に乗り換えて上越国際スキー場前駅まで行き、そこから15分ほどでスノーボードを送ったホテルグリーンプラザ上越に着く予定。2週間前ぐらいに予約とともにたてた予定だ。ホテル側の情報で、越後湯沢でホテルグリーンプラザ上越までのシャトルバスがでているという知らせもあるのだが、一番早い到着方法となるとどうしても上越国際スキー場前駅まで来る必要があった。しかし上越線に乗ってからいくつかトラップがあった。上越線のワンマン列車は2両なのだが、走行中のアナウンスで「降車時は、先頭車両の1番前の扉しか開かない」という知らせが2両目に座っている自分の耳に入った。そして上越国際スキー場前駅で同じ目的地のスキーヤー、ボーダーが1番前の扉の前から列をなす形となり、降車するタイミングが遅くなった。続いて駅からのシャトルバスなのだが、十数人程度が乗れる大きさのバスで、自分が駅を出たときにはすでにバスが満員で次の便を待たざるをえなかった。複数台で回しているようで、10分ほど待ったら次のバスが来たのだが、自分が入ったタイミングでその便も満員になった。もうひとり前にいたらあとどれぐらい待つことになったのだろう。初めて行くところというのは、予想できないことが多い。まぁこれも旅の1つの面白さとして捉えてはいるが、急いでたりする場面で出くわすとつらいかもね。でもまぁなんとか目的地に到着し、着替えて早速ゲレンデへ。

 都内の天気とはまた違い、上越国際スキー場の天気は小雨。天気予報ではじきに晴れるとあったので、まぁ滑ってるうちによくなるでしょって感じで滑り始めた。心配していた雪質だが、雨も相まって少し水分を含んで重いという印象。見た目の天気に相反して、気温は高めだったようで、アイスバーンのような硬いという印象ではなく、適度にエッジが入るような状態なので、心配していたよりは滑りやすいという感覚はあった。まぁ最初に滑った長峰ゲレンデの中級者コースでさっそく転倒したんですけどね。

 上越国際スキー場のコース名は、ある程度の範囲を一括にコースと名付けているようで、例えば3種の中級者コースが横並びに並んでいるものを「長峰ゲレンデ」というコース名でまとめて呼ばれています。おそらくそれぞれのコースを一意に示す呼び名はあると思うのですが、コースマップとしては書かれていません。また、コース図自体がだいぶ簡略的に書かれているもののようで、実際に滑ってみるといくつもコースの合流点があるのですが、マップからそれを知ることはほぼ出来ません。まぁそのあたりは滑ってからのお楽しみというように思っておけばよいでしょう。

 上越国際スキー場は大きく4つのエリアに分かれており、宿泊施設手前のマザーズゾーンから、山奥に進むにつれてパノラマゾーン、フォレストゾーンと続いています。アクティブゾーンというのもあったのですが、行ったときは雪が溶けて山肌が部分的に見えるような状態で、営業していませんでした。エリア間の移動は行きも帰りもリフトになるので、1日を通して多くのリフトに乗ることになりました。滑らずにリフトを3つぐらい乗り継がないといけない場面もあり、気温が低いと凍え、日が出ていると天日干しにあう天気の猛威にただたださらされる時間がつらいかもしれません。この日はひたすら暑かったですね。

 全長6キロにもなる林間コースの一部を滑ってみたのですが、かなり平坦なコースとなるため、スノーボードで滑るのは大変だと思います。この日自分が滑ったタイミングは、まだあまり人がいなかったことで合流地点まで止まらずに滑れましたが、人が集まってくると減速せざるを得なくなり、片足を外した状態で長距離を進まなければならないでしょう。天気が良ければ見晴らしは良いと思いますが、スキーヤー向けのコースだと感じました。

 リフトを乗り継ぎ、パノラマゾーンにやってきました。天気が次第に良くなると予報では言っていたので、フォレストゾーンまで移動しているうちに少しはましになるだろうという腹づもり。リフトで山を超えたような移動をしたこともあってか、長峰ゲレンデとはちょっと雪質が違い、圧雪しきれていないような雪の感触が少しありました。滑りやすさでいうとパノラマゾーンの雪質がこのときは一番滑りやすかったかなと感じています。滑り始めは横幅も広く、人工物が視界に入らず自然の中を抜ける爽快感はとても気持ちがいいものの、徐々にコース幅が狭くなり、コースが合流してくると人も多くなるので、人の間を縫ってコースを取らなければならず、景観を楽しむ余裕がなくなり滑りにくくなる。おそらくこのエリアが他のエリアに比べると人も集まりやすいようで、時間経過とともに混雑は避けられない。早朝やお昼時など、人が少ないタイミングに滑るのがおすすめだろう。

 パノラマゾーンからリフトを3つ乗り継いで、花粉症の人を悩ます杉林の間を抜け、ようやくフォレストゾーンに到着。ここまでくるとどこを見ても山や木々しか見えず、本当に戻れるのだろうかと妙な心配がこみ上げるほど、自然のど真ん中にいるように感じます。だいぶ移動したような感覚はすでにあるんですが、まだ上があるので、次のリフト乗り場まで今度は滑っていきます。当間第4ゲレンデというコースの一部で、コースの最後は急斜面となっており最初見たときは少しおののきました。コース幅もあり人もいなかったことで、左右に大きくスライドするように滑り転ばずに済んだものの、中級者にとってはひとつの難所となることでしょう。

 頂上につながる最後のリフト、当間第4クワッドリフトに乗って終着点へ。雨はやんだもののまだ雲が上空に広がっています。それでも視界は最初に比べるとクリアになり、コースの先の方まで見通すことが可能となってきました。頂上からリフト乗り場のところまで下るコースは当間第4ゲレンデとして先程滑ったコースとまとめて同じ名前でひとくくりにされています。最初は少し急な斜面ではありますが、中盤は平坦な部分を含んだ緩やかな斜面が続き、コース幅もそこそこあるので、景色を見つつ悠々と滑ることが出来ます。両サイドは山奥まで続く林であり、目を凝らすと動物でも見つけられるんじゃないかといった雰囲気。自然に作られたコースなのではないかと錯覚させられそうな周辺の景観は、滑り降りる爽快感もより一層感じられる要因となっているのでしょう。コース終盤は急斜面があるので、この部分は少し注意しながら滑り降りました。斜度が20度を超えてくるとまだ恐怖心があってなかなかまっすぐ滑り降りることが出来ません。

 頂上からのコースを滑り降りたところで一旦休憩し早めの昼食。休んだところはフォレストゾーンにあるレストラン・ホルン。シーズンの終盤ということもあってか、早めに来たのにメニューには売り切れとなっている項目がいくつかあり、パスタかポトフの2種から選ぶしかないと行った状態だった。ホルン特性と書いてあったので、自分はポトフを選んだ。暑いと言っていたのにさらに熱いものを選んでしまって良いものかとも思ったが、飲料水で頑張って冷ましていくしかない。ポトフのセットにしたことで、石窯ライ麦パンがついてきた。これをポトフに浸しながら食べるのがとても美味で、骨付き肉も入っていたのだが、フォークで骨からするりと肉がほどける柔らかさ。短時間で平らげてしまった。フォレストゾーンにも少し人が入り始めてきたので、ホテル近くまで戻る経路を今度は滑ってみることにした。

長くなってきたので一旦ここで区切ろうと思う。

小樽冒険記Part3「小樽歴史観光」を投稿したよ

 小樽冒険記Part3は、高島岬で日和灯台と鰊御殿をみて、小樽総合博物館をみて、旧手宮線を歩いて、夕飯の後にBarVという流れを動画化したものになります。社会見学っぽい感じの内容になったので、歴史とかに興味がないともしかしたら退屈な内容だったかもしれない。

 まぁそんなことよりだ、投稿したこの日にゴールデンカムイの最新刊が出てまして、その中で今回紹介した、蒸気機関車の「しづか号」と客室が、自分が写真を撮ったそのままの姿で登場したのがかなりびっくりした。スタンプラリーの設置場所ではなかったけれど、時間のない中見に行っといて本当によかった。「あのとき見たやつや!」っていう感動って、今後も長く記憶として残るやろうし、偶然の出来事となるとより小樽とかゴールデンカムイにたいして妙な縁を勝手に感じてしまう。

 おたる水族館で写真を取りすぎてしまったことで、スマフォの電池残量が半分を切っており、Part3の範囲で撮った写真の数が、おたる水族館のときと比べてだいぶ減ってた。特に鰊御殿のあたりと、手宮高架桟橋あたりはもっと写真を撮っておくべきやった。細かい解説の資料ばかりを後で読めるように写真に残していたために、残っていた画像の多くは文字中心のもの。動画で使用するにはちょっと向かないものばかりだった。モバイルバッテリーを持っていっていたとは思うが、スマフォを出す頻度を落とせばいいかと思ってしまったのがとても悔やまれる。まぁ、博物館とか資料館とか、どうしても文字の資料が多くなる場所ではあったんやけど、それでももっといい写真が撮れてたと思う。次遠出するときは、これでもかというほど写真を残しておかねば。

 おたる水族館で生き物をみて、日和灯台や鰊御殿で建物に関する歴史を知って、鰊という魚と小樽の関係を知って、小樽総合博物館で鉄道による小樽の発展を知る。1日ではとても持ち帰れないような膨大な情報量があるから、今後も機会があれば何度か足を運びたい。今度はもう少し時間に余裕を持ってひとつひとつをまわりたいな。

 たぶん、次で小樽冒険記は最後になると思う。3日目に小樽を出たのが1時頃だったと思うので、動画化するとしてもそこまで長くなるとは思わんのやけど、どうなることやら。そいういえば、小春六花の大型バージョンアップで、くぐもった感じの声がだいぶ解消させてたんよな。次の動画の小春六花の音声には、これまでと差があって少し変になるかもしれんがまぁしゃぁない。次回も見てくれると嬉しです。それではまた。

小樽冒険記の動画をあげたよ

 小樽に旅行に行ったあとに掲げたやることのうちのひとつ。ようやく動画としてまとめられたけどやっぱ何回かに分けへんと長過ぎて無理やわ。まずはPart1ができたので投稿しました。

 文章にするとどうしても長く詰め込みすぎてしまうので、ラジオみたいに喋ってくれる動画の形に残して置きたいというのと、あわよくばコメントとかで自分の知らない情報が出てくるといいな、という目的があった。

 あとは、六花ちゃんの使い所を探していたので、ようやく使うことができてまずは満足。CeVIO AI 自体使うのが初めてだったので、新しい動画のテンプレートを作成することがまずは大変だった。素材を探してPSDToolkit に対応させたり、そもそも全体の流れをどうしようと悩んだり、BGMをたくさん聞いてどれを使うか選んだり。今までゲーム実況動画しか作ってこなかったので、新しく気にしなければならない部分が多く、実際にセリフを打ち込みまでが長かった。六花ちゃん関連の素材がそもそもまだ少ないみたいなので、選択肢が限られていたのは逆に悩む必要がなくてよかったのかもしれない。今後もっと増えてくれると嬉しいな。

 セリフを打ち込んで少し集中力が切れたとき、六花ちゃんのExボイスってそういえばどんなのがあったけな、とおもってリストを見直したりした。車載動画やゲーム実況向けのセリフがちらほらあるが、今回自分が作ろうとしているもので活用できそうなものはだいぶ限られる。その点はちょっと残念。ただ、Exボイスの中で「好き」関連の台詞が多く、これを繰り返し聞いてると幸せな気持ちになり、さらに六花ちゃんに夢中になってる自分がいた。客観的にみるとキモいかもしれんがまぁ気にすることあらへんやろ。

 さてさて、Part1を作ったからには、続きもちゃんと作って完結させなければ。Part2は12月中には出したい。

小樽旅行の記事もよければみてね。

三島でうなぎ食べた

 仕事でむしゃくしゃしたので美味いものが食いたくなった。思いついたのが三島のうなぎ。お昼時に食べたかったので午前中のうちに電車に飛び乗る。しかし見落としていたのは週末の静岡方面に向かう列車に旅行客が多いこと。電車の移動だけでけっこう疲れてしまった。通勤もほとんどしてないことで電車に対して苦手意識が生まれ始めてる気がする。

 電車の中ではもっぱら本を読んで過ごした。今回読んでいたのは渋沢栄一の「論語と算盤」なのだけれど、もうちょい砕けた内容の本を選べばよかったな。余計に疲れた。

 うなぎを食べるというモチベーションを支えに電車移動を耐え、いくつも電車を乗り継いでようやく三島に到着。道中で調べていた三島駅近くの源氏というお食事処。お店に入って消毒用アルコールを手に広げて、席に案内されたときにうな重にすることを決めてたのですぐ注文。しばらく本を読んでると待ちに待ったうな重が運ばれてきた。あまりに美味しそうなので、写真を撮る前に箸をつけそうになった。

うな重

 美味い。めちゃくちゃ美味い。仕事の記憶を薄れさせてくれるには充分すぎる美味しさだった。半分ぐらい食べたところで、ペースが早すぎる事に気づいて、自分に少し落ち着くように言い聞かせた。もっと味わって食べないともったいない。一緒についてくる高野豆腐、お吸い物、漬物も絶品で、それぞれの味を確かめるようにゆっくり食べた。最後の一口がとても名残惜しく感じた。

 食べ終わったあと、せっかく三島まで来たので三島大社をみていくことにした。三島には縁があって何度か足を運んでいる場所。三島大社も今回で4回目になるかな。この日は七五三参りをしている家族が多く訪れており、スーツや着物姿の人たち、おめかしした子どもたちが多く見られた。ちょうど紅葉している時期でもあったので、三嶋大社と着飾った人たちがきれいな背景の中に収まる。こういう日に記念の1枚が撮れるとさぞきれいな写真を残すことができるだろうと考えていた。

 以前三嶋大社に訪れたとき、ちょうど流鏑馬をしているタイミングで、走り抜ける馬にまたがりながら的を射抜く姿を非常に近い位置からみることができ、感動した思い出がある。近い距離だからこそ感じられるあの迫力はなかなかお目にかかることができないので、今度来るときは流鏑馬をやっている時期にしよう。

小樽冒険記 Part6「見どころが尽きない」

こちらの記事は前回の記事の続きになります。

 小樽に来て3日目、もう最終日。2日目までなかなか無茶なスケジュールだったので、3日目の活動開始は8時ぐらいからで少しゆったりしてた。最後のスタンプラリーがある場所、小樽ビール小樽倉庫No.1があくのは11時頃なので、それまでどうしようかなとガイドを眺めたりしていると、LeTAO本店のカフェが9時から開いているというのがわかったので、手早くチェックアウトの準備をして荷物を抱えてまずはCOTARUに自転車をかりに行くことに。COTARUでは荷物も預けられるのでコインロッカー代わりにも使えて超便利。LeTAO本店に向かう前に、サンモール1番街にあるポケふたの写真をおさめにいった。目的地についたとき、ポケふた近くにトラックがとめてあったため、正面からの写真を取ることはできなかったのが少し残念。ポケモンサン・ムーンは履修済みだったので、アローラロコンは知っていた。背景のステンドグラスのような模様はステンドグラス美術館が小樽にあるからだろうか?とてもきれいな模様とロコンの可愛さが調和している。これだけ特別なマンホールだと踏んだりするだけでも周りから反感かいそうとか考えてた。

 スタンプラリーでも立ち寄った堺町通り商店街を通り抜け、LeTAO本店に到着。入り口で販売員のお姉さんから試食のチョコを貰いながら、自転車を脇に止めて入店。1階がお土産屋となっており、カフェが2階にある。平日の午前中ということもあってかお客はまばら。LeTAO本店限定で季節限定の焼き芋ドゥーブルとかぼちゃのケーキセットをコーヒーとともに注文した。限定といわれたら注文したくなるのは人の性。焼き芋とかぼちゃのやさしい甘みのつまったケーキを堪能し、コーヒーを飲みながらゆったりと次の目的地を探す。

次の目的地として選んだのは、小樽北運河の石造りの倉庫。ここは渋沢栄一の縁の地であり、新しい一万円札にも描かれる予定となっているので、実物をこの機会に見ておきたいと思った。目的地までの道のりは、小樽運河にそって石造りの道を進むことになったのだが、これがなかなか凸凹しており疲れの残る下半身には度重なる振動がこたえた。自転車もだめにならないだろうかと心配しつつ、目的地近くに来たところで野生のリスを見かけた。こんなところにリスがいるのかと驚き、写真を撮ろうとしたがリスは早々に逃げてしまい写真を撮らせてはくれなかった。似た風景が続き目的の建物がなかなか見つけられない。来た道を折り返して再度探してみると見つけることができた。運河を挟んで奥にある建物ばかりをみていたのだが、目的の建物は運河を背にした状態で見つけることができるもので、自分は反対側を常に探していたので見つからないという状況だった。おそらく1万円札にはこんな向きで載るのだろうと予想しながら写真におさめる。新しい一万円札を手にしたときに見比べるという楽しみができた。

 午前11時、様々な施設がオープンし始める時間。最後のスタンプがある小樽ビール小樽倉庫No.1に向かう途中の道に小樽市総合博物館運河館があるので、先にこちらに向かう。ここの入場に必要なチケットは、前日に訪れた総合博物館で一緒に購入しており有効期限が2日間とあったので日を分けて訪れるようにしていた。総合博物館の方では、小樽の鉄道を中心とした発展の歴史に関する資料が多いのに対して、運河館の方では北前船や鰊漁による繁栄までの変遷がよみとける資料、昆虫や動植物といった自然についての資料、小樽市西部にある忍路土場遺跡から発掘された縄文時代の資料といったものがみることができる。カブトムシがもともとは北海道に生息していなかったというのは個人的に驚いた発見だった。館内には当時の商家を再現した空間があり、そこには当時のオルガンが誰でも弾いてよいという状態で公開されていた。有名なYouTuberがこのオルガンで演奏とかすればちょっとしたイベントができそうとか考えてた。

運河倉庫の模型
総合博物館運河館は運河倉庫の一部を利用している
運河倉庫内の広場
屋根には鯱があつらえられている

 資料を眺める中で「オタモイ海岸」に関する資料が目に止まった。前日のおたる水族館に訪れるた際に、水族館からさらに登った先で見つけた小道が「オタモイ線歩道」と書かれていたことを思い出し、オタモイ海岸に続く道だったのかと改めて考えていた。この歩道がいったい何なのか気になったので、館内のスタッフの方に伺うと館長らしき偉い方に聞くのが良かろうとのことで、偉い方がわざわざ時間をとって丁寧に説明してくれた。Part3の投稿にも書いたとおり、定期的な自然の観察・調査の実施ルートで、登山道としても開放されてはいるが、ちゃんと準備をしないと危ない道。危険な動物などはいないので、景色を楽しむために観光する人もたまにいるらしい。

 一通り内部を見て回ったので、説明してくださった方や案内してくださった方にお礼を言いつつ外に出る。自転車がたまに盗まるという話を館の方から聞いたので少し心配していたが、今回は盗人のターゲットにはならなかったらしい。少し天気が曇り始め、いつ雨が降ってもおかしくないといった状況になってきたので急いで小樽ビール小樽倉庫No.1に向かった。

 総合博物館運河館から小樽ビール小樽倉庫No.1まではそれほど距離はなく、石畳の道を少し進んだところにあった。外観は歴史ある倉庫といった様子だが、中に入ると天井が高い大きく広けた空間に、中心にはビール製造関連の機材と思わる大きな危機が鎮座し、その周りを囲むように多くのテーブルと椅子が整然と並べられ、更にその周りにお酒の瓶やビール製造関連の機器がガラス越しに並んでいるのが見える。まだ開店間もない時間帯ということもあり、お客の姿は見えないが、人が集まったときはさぞ賑やかなのだろうと想像できた。自転車に乗って移動しているため、ビールを飲むことはできないが、ソフトドリンクを頼んで少しでも雰囲気に浸ろうと待っていると、見た目がほぼビールのアップルソーダが運ばれてきた。口をつけるのをためらうほどのビールっぽい見た目ではあったが、飲んでみるとちゃんとアップルソーダだった。美味い。広く綺麗な内装や美味しいジュースに満足して本来の目的を忘れそうになっていたが、お会計のレジの横においてあるスタンプを見つけてなんとか思い出すことができた。お店を出る前にスタンプと缶バッチを手に入れ、これにてようやくスタンプラリーを完遂させることができた。

ビールにしか見えないアップルソーダ
最後のスタンプ

 スタンプラリーも終わり、自転車の返却まであと1時間しかない。最後に自転車で向かったのは小樽芸術村にあるステンドグラス美術館。ここの内部も外観からは想像できない広い空間があり、大きなステンドグラスが数多く展示されていた。これまでは小樽に関連するものばかりをみてきたが、ここに並んでいるものはほとんどが海外から集めたものであり、ステンドグラスに描かれている内容は聖書に基づくものばかりだった。この日は少し曇りがかった天気だったこともあり、ステンドグラスから差し込む光はさほど強くないのだが、それでもひとつひとつのステンドグラスから暗がりの空間に差し込む光は神秘的で荘厳な雰囲気を醸し出していた。思っていた以上に展示されているステンドグラスの数が多く、内容の解説も充実していたため、1時間ではじっくりみたり読んだりすることができず、後半は流し見のようになってしまったのがもったいなかった。次に来るときは聖書について改めて読み直して、充分に時間に余裕を持ってこなければ。

 自転車のレンタル時間いっぱいまで乗り回し、行きたいなと思っていたところはすべて回り、その場の思いつきで更に足を伸ばしたところも多かった。小樽には自分の知的好奇心を満たすたくさんの見どころがあるのだと知ることができた。疲労を忘れるほど楽しい小樽に、お別れを告げなければならない時間になった。荷物を抱えて小樽駅のホームの前で、次の電車の時間を確認。少し時間があったのでバス停から伸びる歩道橋の階段から駅の写真を撮った。バス停の屋根を突き破るように伸びた階段が印象的だった。朝の天気予報ではこの時間すでに雨が降っているといっていたが、なんとか曇りで耐えてくれていた。午後から翌日にかけて天候は崩れ、更に雪が降ったとのことなので、自分は晴れ男なのだろう。次に小樽に来るときも、晴れた天気のもとで自転車を乗り回して、今回巡ったところとまだ行けていないところを体力の限界に挑みながらまわりたい。いつ来られるかわからんが、また会う日まで。小樽最高!

 家に帰るまでが旅行ということで、新千歳空港でのことも書いておく。空港についてまずは腹ごしらえということでお寿司を食べた。おすすめ握りに加えて、今回の旅行で印象に残っていた鰊の握りを追加で頼んで堪能した。葱と生姜がけっこう盛られていたが、それに負けない鰊の旨味がたまらない。まぁこの鰊は小樽ではなく根室でとれたものなんやけど気にしない。

おすすめ握りと干瓢巻
鰊の握り

 早めに新千歳空港に到着したこともあり、空港で2時間ほど見て回る時間があった。ちょうど初音ミクのイベントもやっており無料でギャラリーが見れたので見て回った。等身大のフィギュアがおいてあり、思ってたより大きく髪の長さが更に長く感じられた。空港は広く、お土産屋や飲食店などだけではなく飛行機に関する資料を見るスペースもあったが、足の疲労感が重くのしかかり見て回る余裕はなかった。疲れを回復させているためかすぐに空腹を感じるので、カフェに入ってチーズケーキを食べつつのんびりゴールデンカムイを読んでた。27巻も出てたので帰りの移動中に読むには十分すぎる量だ。天候の悪化もあり、飛行機は1時間ほど遅れて空港をでた。遅れたことでお腹も空いてきていたので、飛行機内で食べるお弁当も買ってあった。この日は常にお腹が空いていた気がする。

 飛行機から降り、電車に揺られ、家について落ち着いたときには23時を超えていた。自分のツイートや写真を見返したり、Twitterで小春六花の公式アカウントからリプライもらったり、小樽で手に入れた品々を眺めたり、まだ小樽旅行をしているような気分に浸っていた。満足感、充足感にあふれるのと同時に、終わってしまったなぁという寂しさも疲労感とともに湧き始め、翌日の予定のために準備をしないといけないのだが、なかなか体を動かすことができなかった。

 本当に楽しかった、また行きたい。こんなふうに思える旅行は貴重だ。スタンプラリーを11月中に完遂し、おたる水族館が開いている日程を考えると、今回の旅行の日程しか都合がつかず、かなり突発的で仕事も数日休んだが、本当に行ってよかった。直前に小樽ビール小樽倉庫No.1が臨時休業するという知らせを聞いたときは肝を冷やしたが、最終日に訪問できるということがわり安堵したということもあった。現地に足を伸ばして実際に見聞きして知見を広げ、行った先の歴史や建造物を近くで見て感じて、現地ならではの食べ物も堪能する。旅の醍醐味を全力で味わえた3日間でした。きっかけを作ってくれた小樽スタンプラリーの関係者の皆さんには感謝してもしきれません。今度はスタンプラリーとは関係なく、小樽そのものを主目的に堪能しに行きます。

記念の品の数々

 非常に長くなりましたが、これにて小樽冒険記は幕引きとなります。ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。

小樽冒険記 Part1「小樽スタンプラリー(最初にして最大の難所は地獄坂)」
小樽冒険記 Part2「小樽スタンプラリーを忘れるほど見どころが多い」
小樽冒険記 Part3 「六花ちゃんに怒られたい」
小樽冒険記 Part4 「おたる水族館は広い」
小樽冒険記 Part5「鰊御殿・博物館・BarV」
小樽冒険記 Part6「見どころが尽きない」

小樽冒険記 Part5「鰊御殿・博物館・BarV」

こちらの記事は前回の記事の続きになります。

 おたる水族館を満喫して外に出て階段を降り、バス停を通り過ぎて更に坂を下り、T字路に出たところで左手に。道なりを進んで坂道を登った先に見えてくるのが鰊御殿。更に奥に見えるのが日和灯台。

 少し天気が下り坂になってきたこともあったので、坂をさらに登って先に日和灯台のところまで来てみた。紹介の看板が立っていたので読んでみると「喜びも悲しみも幾歳月」という映画のロケ地にもなったとか。この映画を後で調べてみると、太平洋戦争時期の日本を背景とした灯台守を主人公とした物語で、1957年に映画、1965、1972年にドラマが放映されてた。灯台の中に入っていいのかわからずドアを開けることはしなかった。周辺をグルッと回り、灯台の作りを見たり、高台からの長めを堪能したりしていた。朝にみた祝津パノラマ展望台から見える景色とはまた違い、こちらは他の場所より海に突き出したような場所なので、一面海しか見えないといった景色になっていた。浜風が強く、スマホを落とさないか心配になりながら景色を撮影していた。

日和灯台側面
日和灯台からの眺め

 日和灯台の観察を終えて、今度は鰊御殿に向かう。午前中に祝津パノラマ展望台からこの建物を見つけたことがここに来るきっかけになっているので、この建物についての事前情報はほぼない。おたる水族館の鰊のコーナーで、この建物が鰊御殿であることを知ったぐらいだ。中で喫茶店でもやっているのかと思って中を見てみると、壁いっぱいに歴史的に価値があるとひと目で分かるような古い道具や写真が並べられており、これは博物館なんだなとすぐに理解した。入場料を支払い、中の資料の数々に向けていると、管理人と思われる方がこの鰊御殿について歴史の概要を説明してくれた。鰊漁の最盛期にはわずか3ヶ月足らずで(今の価値にして)数十億という稼ぎが発生することがあったそうで、そのお金で港近くに鰊漁のために雇った人たちを漁の間住まわせる場所として、この鰊御殿が立てられた。中でもこの祝津の鰊御殿は現存するものの中で最大規模のもの。もともと積丹半島にあったものを今の場所に移転し、北海道有形文化財として管理されている。ここに一時期とはいえ100人を超える漁師が住んでいたというのだから驚きだ。

 鰊御殿の中にある資料を見ていると、厳島神社の鳥居を建造するにあたり、鰊御殿の網元である田中家から奉納したという書面があり驚いた。これについて管理人の方に改めて確認したところ「よく見つけましたね、確かにそうです。それにしてもここまで細かくみてくださって、ありがたいです」と言われてしまった。めっさ照れた。資料とかをみていて他の歴史と交差していることに気づいた瞬間というのは、自分にとって歴史を知る一つの楽しみとなっている。他には隠し部屋についての話が興味深かった。腕っぷしのいい漁師たちが一堂に会するのだから、トラブルが発生することもある。一時的な避難場所、あるいは金銭の隠し場所として、鰊御殿には隠し部屋があるものだと説明されていた。本当に面白い造りをしている。このあたりの話はゴールデンカムイという漫画にも出てくると他の場所で見たので、後日イッキ読みすることを決めた。

広すぎる
隠し部屋

 日和灯台、鰊御殿を見て回り、この時点でだいたい15時ぐらい。坂を下りおたる水族館方面に歩き出すと、ちょうど小樽駅に向かうバスが来ていたので、おたる水族館前のバス停までダッシュしてバスに飛び乗る。次に向かう場所は小樽市総合博物館。ただ、どこで降りるべきなのかよくわからなかったので、GoogleMapを開きながら、現在地と博物館の場所を見比べて、近そうな場所で止まったら降りるようにした。微妙にずれて遠くなった。しかも降りた場所が博物館の入口から正反対の場所だったため、博物館の周囲をぐるっと廻る必要があり、この移動だけでも20分ぐらいを要した。

 小樽市総合博物館の本館に到着したのは16時前ごろ、周りも日が落ち始め少しずつ暗くなってきていた。営業時間が17時までなので1時間ほどしか見て回る時間はなかったが、自分が興味のあった鉄道関連の展示を中心に見て回るには充分な時間だった。入場口を入ってすぐに見えたのは、蒸気機関車のしづか号。細く先がダイヤモンド型の煙突と前に突き出たバンパー部分が特徴的。最初に外に出て、機関車庫や転車台といった鉄道関連の展示を見て回る。以前、愛媛の宇和島で転車台と機関車庫をみたことはあったが、宇和島のものと比較してもここに残っているものは非常に綺麗で動くものとしてはとても管理が行き届いており大事にされているというのがわかる。にわか雨が心配されていたせいか、いくつかの車両はビニールシートがかけられておりみれなかったのが残念だった。北のウォール街と呼ばれた小樽が、どのようにして栄えていったのか、博物館内の音声による解説が充実していたのでとてもわかり易かった。昔の映像もいくつか公開されており、中でも自分が興味を惹かれたのは、「手宮高架桟橋」についての解説だった。石炭を貨物列車から効率よく船に乗せるための大掛かりな施設で、海に突き出すように作られた路線とその運用方法の特殊さにとても興味が惹かれた。資源の需要が石炭から徐々に石油に移ったことや採掘量の減少などから、すでに解体され実物を見ることはできない。もし今も残っていたらその迫力に度肝を抜かされることだろう。

しづか号
手宮高架桟橋の模型

 総合博物館をゆっくりみている途中で、頭にかなりの疲労を感じた。水族館に鰊御殿、そして総合博物館と、多種多様な知識をインプットするようなラインナップだったためか、興味より疲れが上回ってきたらしい。それでも45分くらいは滞在していたらしく、出口に向かう頃には閉館準備をしているスタッフさんがいた。夕飯は前日とは異なる友人との約束があるので、いったんホテルに戻って少し休むことにする。ホテルまでの道のりは、せっかくなので旧手宮線の遊歩道を通ることにした。実際歩いてみるとこの遊歩道、長い。歩いているうちにすっかり日も落ちてきて、あまり電灯もない暗がりをヨタヨタと疲労の溜まった体を引きずるように進む。ホテル近くまで来たところで、なにか甘いものを取りたいと思いあたりを探すと「遊菓」という和菓子屋がホテルの向かいのとおりにあったので、そこでどら焼きと中華まんじゅうを購入し、ホテルの部屋で食べた。ふわっとした生地に甘すぎないいい塩梅の餡がめちゃくちゃ美味しかった。

旧手宮線遊歩道

遊菓の和菓子

 少しホテルで休んだあと、小樽駅で友人と合流して予約していた海鮮焼きのお店に。この日あった友人は小樽に車で2時間ほどかけて駆けつけてくれた。本当に感謝しかない。お店に入ってから知ったのだが、友人は海鮮全般が苦手だった。予約する前に駄目なもの聞いときゃよかったと本当に申し訳ない気持ちになった。それでも友人は気にする様子もなく、通話ではなかなか話さないようなお互いの近況などについて面白おかしく話をしてくれた。実際に顔を合わせるのは初めてだったが、通話で話すときと変わらず楽しく話すことができたのは、友人の明るい人柄によるところが大きいと思う。別れ際にかに飯のお弁当まで頂いてしまって、感謝感激です。もしこちらに来るときがあればきちんと歓迎してあげたい。

 友人と解散して21時ぐらい。ここからさらに札幌に向かいました。札幌についたときには22時頃、北海道広い。札幌のBarVというバーで、スタンプラリーとコラボしたカクテルが飲めるというのを聞いていたので、時間的と体力に余裕がない状態でしたが、ここまで来たら行くっきゃないと気合だけで行動してた。実際、小樽駅で改札をくぐるかめっさ悩んだ。意を決して改札をくぐったのに1本電車に乗り遅れるというミスを犯し、時間的に更に余裕がなくなる。札幌駅からバーまではほぼ駅から直進なのですが、途中の信号が多く、ほとんどの信号で待たされてしまったため、BarVについたときには22時半を過ぎていた。小樽への終電を考えると30分ほどしかいられない。

 BarVについてからスタンプラリーをしている旨をお伝えし、台紙を見せればチャージ料が無料になるのだが、台紙をホテルに置いてきてしまっていた。マスターが「スタンプラリーをしていることがわかれば大丈夫ですよ」と言ってくれて、小樽でとった写真を見せることでOKと言ってくださった。とても優しい、ありがとう。時間もないので早速、小春六花をイメージして作ったカクテルを頼んで、待っている間にマスターと先客の方とコラボの話とかVOICEROID関連の話をしていた。同じ趣味というのがわかっているだけで、初対面にも関わらず気兼ねなく話ができたのは、BarVの話しやすい空間があったからだろう。そしてコラボカクテルができあがった。

六花ちゃんコラボカクテル

コラボカクテルは全体的に度数は低くなっているとマスターが言っていたとおりで、お酒というよりはジュースだった。ヨーグルトがメインで下の方にはシロップがある。おいしいのと疲れてたのもあって、すぐに飲み干してしまった。せっかくなので2つ目のコラボカクテルを頼んだ。選んだのは花隈千冬をイメージしたカクテル。

抹茶をベースとしたカクテルで、このカクテルも甘いのだが六花ちゃんコラボのカクテルよりちょっと高級感があるような美味しさだった。抹茶の粉末に辻利のものを使用ししているらしく、これがちょっとした高級感を生み出しているんじゃないかと自分は思っている。これもすぐに飲み干してしまった。2つのカクテルを飲み終わったところで、札幌駅からの終電の時間が迫ってきていることに気づき、いそいそとお店を出た。エレベーターまでマスターが見送ってくれて、終始とてもいい雰囲気を感じることができ満足度が高い。コラボと関係なしに北海道に行く機会があればBarVにはまた立ち寄りたい。

 BarVから札幌駅までの道のりは、バーで教えてもらった地下通路を利用することで、行きよりも短い時間で駅に到着することができ、終電の1本前の電車に乗ることができた。札幌駅の地下通路の長さと広さは想像以上で、信号がないことで逆に休みなく歩き続ける状態となり、足も痛かったので「いつになったら着くんだ?」と精神力を試されている感覚もあった。小樽駅についた頃には日付が変わっており、疲労感も重くのしかかってきたが、それよりも大きな達成感があった。BarVに足を運べるかどうかはこの旅行の悩みでもあったので、短い時間だったとはいえ訪れてよかったという満足感が溢れていた。ホテルに戻るととてつもない空腹感に襲われたので、寝る前ということをお構いなしに、友人からもらったかに飯のお弁当をたいらげた。めちゃくちゃ美味しかった。改めて友人に感謝してた。

1日中動き回った2日目。スタンプラリーとしてはおたる水族館だけ。1日目の疲労も相まってか足は痛みを感じるほど疲弊していたものの、訪れる場所や出会う人とのやり取りに夢中で、疲労を感じない時間帯が多かった。おたる水族館、鰊御殿、博物館、年齢を重ねたからこその楽しみを見つけたような感覚もあった。ひとりで自由気ままに見たいものをみて、管理している人に気になったことを聞いたりしてより深く知り、他のところで知ったこととたまにつながったりしてより好きになる。こんな刺激的な1日をたくさん繰り返すような生活ができたらなと思い横になり、すぐに眠りは深くなった。3日目に続く

小樽冒険記 Part4 「おたる水族館は広い」

こちらの記事は前回の記事の続きになります。

 小樽旅行2日目、6時頃に起床。この日の主目的はおたる水族館。水族館を見て回ることにどれぐらい時間が必要なのかわからないため、9時開園と同時に乗り込み隅々まで見て回ろうと計画していた。そのため、小樽駅のバス停から8時台に出発するバスに乗って小樽駅に向かわなければならない。これに合わせて朝の準備とかを考えると6時頃に起きなければならなかった。1日目の疲れが下半身に如実に現れておりすでに悲鳴をあげてる。ホテルの朝食はバイキングで、美味しそうなものが多数並んでいたので、できるだけ色んなものを食べれるように、少しずつお皿に乗せていった。それでもお皿が一杯になり、朝からガッツリとした量をたいらげた。昨日の疲れを回復させようとしているのか、自分でも驚くほど食欲があった。

 バスに乗って30分ほどでおたる水族館に到着。この時点で8時40分頃、入口のシャッターもまだ降りた状態、かなり早く着いてしまった。

 おたる水族館のすぐ横には遊園地があり、更に奥に展望台のような建物が見えた。開園まで時間があるので、おたる水族館周辺に何があるのか見て回る。知らない土地って妙に探索したくなるのはRPGをやってきたからなのかもしれない。坂の上に見える建物に続き道の途中、祝津パノラマ展望台という見晴らしのいい場所に出た。ここからは、小樽の北側に面する日本海を一望できる。

奥に見える建物は日吉灯台と鰊御殿
おたる水族館の奥にあるホテルノイシュロス小樽と裏手の崖

 ホテルノイシュロス小樽まで登り、受付で建物上部の展望台と思われる場所に入れるかと伺ってみたが、メンテナンス中で開放していないとのことだった。ここのお風呂の見晴らしが公式サイトの写真からとてもきれいに見えたので、今度はここに宿泊してみるのもいいかもしれない。ホテルの前の道を更に進んで坂を登ってみると、私有地と書かれたエリアの脇を通るように、草木が高く生い茂る中に細い道があった。道を少し進んでみると「赤岩オタモイ線歩道」とかかれた看板が立てられていた。この先に一体何があるのかと少し進んでみたが、お墓がひとつあって、その先の道がさらにくさきの中を突き進むような道のりに見えたので、今回は諦めて引き返すことにした。後で聞いたり調べたりして知ったことだが、定期的な自然の観察・調査の実施ルートだったり、登山を楽しんだりする道なので、ある程度準備しないと危険とのこと。危険な動物がいるわけではないので、地元の人しか知らないちょっとした観光スポットのようだ。次に小樽に訪れるときはここを通って、オタモイ海岸あたりを観光するというのも良さそうだ。

私有地に沿った小道
赤岩オタモイ遊歩道
草木生い茂る遊歩道

 どこまで道が続くのか、何があるのかと探索に夢中になるうちに、主目的であるおたる水族館の開演時間を過ぎていた。入り口に戻るとすでに子どもたちの団体が列をつくっており、引率の保護者に紛れるように自分も列に並ぶ。入場口のすぐ横に小春六花のパネルとともにスタンプを見つけたので台紙に押し、今日予定しているスタンプはまず完了。残すは小樽ビール 小樽倉庫No.1のみ。入ってすぐに大きなアカウミガメ、アオウミガメが入った水槽があり、予想以上に大きな生き物が最初に出てきてびっくりした。

スタンプは入り口すぐのところ

 水族館のいくつかのスポットでは、小春六花の音声ガイドが対応しており、生き物についての解説を小春六花の音声で聞くことができる。これは今回のスタンプラリーの情報を集める中で知っていたが、もうひとつ北海道弁の音声ガイドもあるというのは知らなかった。2つとも同じ内容ではあるが、北海道弁の方はところどころ何をいっているのかわからなかった。生き物の解説よりも北海道弁のユニークさを伝えることがメインとなっている気がしておもしろい。

 北海道の生き物はプラキストン線という生き物にとって行き来が困難な境目があり、気候も寒さが厳しい地域ということもあり固有種が多い。ここでしか紹介されていないだろうと思われる生き物もいくつか見られる。水槽にいる生き物たちを観察するだけでも楽しいが、水槽近くの壁などに生き物についての解説や、スタッフ独自の目線でかかれた解説資料やクイズなどもあり、くまなく読んで進んでいるとあっという間に時間が経ってしまう。9時過ぎに入館して資料を見ながら進んでいたが、いつの間にか10時半になっており、イルカのショーが始まる時間になっていた。今日だけで見て回れるのか不安になったほど。イルカのショーでは、最初にアザラシやアシカに似たオタリアのショーがあり、高いところからの飛び込みやボールを使った芸を見せてくれた。芸自体はそこまで特殊なものはないが、そもそもオタリアってなんだ?という疑問で頭がいっぱいだった。続いてイルカが登場し、最初にイルカが覚えるのは待つということで、これができないと健康状態を見れないといった管理における解説をしてくれた。芸を見せるだけではなく、こういった解説をしてくれるショーというのは自分にとって新鮮だったので感心しながら聞き入っていた。

オタリアのショー
体温を測る場所の説明

 イルカのショーが終わり、しばらくすると海獣エリアでショーがあるというアナウンスがあったので海獣エリアにある展示をまず回ろうと思い、案内に従って海獣エリアにいってみると外に出た。そして崖下の海に続く長いスラロープ。ここも水族館の一部なのか?という疑問をいだきながら、他のお客さんのあとに続いて自分もスラロープを降りていく。思いの外移動範囲が広くて今日も足にかかる負担は大きそうだとか考えていた。

下に見える海の手前の囲いまで水族館の一部
海獣エリアに降りるためのスラロープ

 海辺に広がる海獣エリアでは、セイウチ、トド、アザラシといった大きな海の生き物をみることができ、更にこれらの生き物がショーを披露してくれる。おたる水族館の目玉エリア。トドにホッケを投げ入れる餌やりも体験できたのやってみたが、トドが餌をくれるとわかった途端こちらに口を開けて大きく鳴き声を出すのはなかなか迫力があった。バイクのエンジン音みたいな鳴き声。ホッケを食べるとはなかなか贅沢なやつだとか考えながら投げ入れてた。

 最初に海獣エリアで始まったのはセイウチのショー。ガラス越しにセイウチが3頭出てきて、餌をもらいつつたくさんの愛嬌を振りまいていた。この3頭のセイウチは夫婦とその子供という家族で、お父さんセイウチには地面につくんじゃないかと思える立派な牙を携えていた。お母さんセイウチは病気のせいで牙を取らなければならなくなったと解説があった。その巨体と牙の迫力に相反して、ガラス越しに可愛らしい仕草をたくさん見せてくれる。手(前駆)を振ったり顔を覆って恥ずかしいといった仕草を見せたり、子どもたちも最初はびっくりしていたようだが、徐々にガラスに近づいてくる子が多かった。イルカは飼育員の増えに合わせて芸をしたりするが、セイウチは飼育員さんの声にあわせて芸を披露していた。こんなのどうやって仕込むんだろう。

手をふるセイウチ

 セイウチのショーのあとは、アザラシのショーがあり、それに続く形でペンギンのショーが実施された。屋外でやっているショーならではなのかもしれないが、野生のカラスが乱入して、アザラシやペンギンとにらみ合うような場面があった。飼育員さんも慣れてる様子でアザラシとペンギンを見守っていた。セイウチ、アザラシが飼育員さんの指示の下お客さんを魅了する芸を見せるのに対して、ペンギンのショーでは飼育員さんの言うことをペンギンが全く聞かないという状態だった。高台から飛び込まない、そもそも高台に登らない。浮島を渡ってほしいと飼育員さんが言っても、そもそも集まってくれない。お客さんは自由気ままなペンギンと飼育員さんのやり取りを笑ってみているのだが、これが普通なのか判断のつかない自分にとっては笑っていいのかわからない状況だった。あとでおたる水族館を知る人に聞いてみると、ここのペンギンはいうことを聞いてくれないことで有名であり、芸が見れたらラッキーと思っていいとのことだった。そんなところもあるのかと驚かされた。

カラスの乱入と言うことを聞かないペンギンたち

 ペンギンのショーのあとはトドのショー。海をバックに自然の岩場を基礎に作られた高台からの4頭一斉の飛び込みや、巨体でありながら高いバランス感覚を見せる逆立ち、そして秋の時期しか見られない酒の丸呑みといったダイナミックなアクションが見ていて楽しかった。ホッケを投げ入れたときは餌を催促する迫力に驚かされたものの、このショーでは人を惹きつける迫力を見せてくれて、そのギャップも相まってとても印象深い。それぞれのショー自体は10分程度で短いものであったが、それぞれとても個性があり、おたる水族館の目玉と言われるだけはあるなととても満足した気持ちになっていた。

 長いスラロープを足の悲鳴を聞きつつ再び登り、いったん腹ごしらえとして館内にあるレストラン「おたる三幸」でラーメンを食べた。美味い。あまり考えずにラーメンを選んでしまったが、オリジナルメニューもあったとあとで気づいて少し後悔してた。一通りショーを見終わったので、あらためて館内展示を六花ちゃんの音声ガイドも聞きつつ見て回る。ひとつひとつの展示にスタッフの丁寧かつユニークさを交えた解説や豆知識がのっており、目を通しているだけで時間は過ぎていく。クリオネの小ささに驚いたり、フウセンウオが見つけられなかったり、オヒョウ(カレイ)やピラルクの大きさに度肝を抜かされたり。ワクワクに満ちた水族館だった。すべての展示を見終わって入口に戻り、買いそびれていたスタンプラリーの缶バッチを入手して水族館をあとにした。この時点で約14時。9時頃からはいって5時間ずっと興奮しっぱなしだった。

たぶんカサゴの一種
オヒョウ(カレイ)
岩場で休む魚たち
ピラルク

今日のメインは終わったけれど、気になる建物が水族館のそばにあったのでそこに今度は足を運んでみることにした。さらに続く。

小樽冒険記 Part1「小樽スタンプラリー(最初にして最大の難所は地獄坂)」
小樽冒険記 Part2「小樽スタンプラリーを忘れるほど見どころが多い」
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小樽冒険記 Part6「見どころが尽きない」